減給制裁する際、10分の1の基準になるのは何か【平成15年:事例研究より】

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当社の賃金は日給月給制で、月額をあらかじめ定めていますが、欠勤すれば日割計算で減額しています。

欠勤による減額に加え、何らかの懲戒事由があって減給の制裁をする場合、あらかじめ月額が定められていますので、その定められた月額を基準としてその10分の1が制限額となるのでしょうか。

【東京 K社】

遅刻したり、欠勤したりして労務に服さなかった場合、それに相当する時間の賃金をカットすることは一つの賃金計算方法で、あらかじめ就業規則などに遅刻、早退、欠勤に対して労務の提供のなかった時間の賃金をカットする旨定めておけば、その不就労分の賃金カットはできます。

しかし、減給の制裁とは、不就労分に見合う賃金カット範囲を超え、本来ならばその労働者が受けるべき賃金のなかから一定額を差し引くことをいいます。

たとえば、15分の遅刻に対して30分の賃金カットをし、あるいは1日の欠勤に対して1日半の賃金カットをするような場合には、そのカット分のうち労務の提供がなかった時間に対応する部分を超える部分は、減給の制裁に当たります。

減給の限度については、労基法第91条に「制裁規定の制限」があり、この制限を超えた減給の制裁を行うことはできないことになっています。

つまり、「その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と定められています。

「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは、1回の事案に対しては、減給の総額が1日分の半額以内でなければならないことを意味します(昭23・9・20基収第1789号)。

したがって、1[亘1の事案について平均賃金の1日分の半額ずつ何日にもわたって減給してよいという意味ではありません。

2個の懲戒事由に該当する行為があれば、その2個の行為についてそれぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することは差し支えありません。

「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは、1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならないという意昧です(昭23・9・20基収第1789号)。

「1賃金支払期における賃金の総額」とは、その賃金支払期に対して現実に支払われる賃金の総額をいうものであり、1賃金支払期に支払われるべき賃金の総額が欠勤等のため少額となったときは、その少額となった賃金総額を基礎として10分の1を計算しなければなりません。

あらかじめ月額で定められている場合でも、賃金の総額とはその定められている月額ではなく、その支払期に現実に支払われる額をいい、欠勤等により平常より減額した賃金が支払われる場合には、数事案の懲戒事由があっても、その減少した額の10分の1までとなります。

【平成15年:事例研究より】

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