週40時間以内なら国民の祝日に出勤を要請した休日手当払う必要ないか【平成16年:事例研究より】

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当社は、土・日のほか国民の祝日も休日としています。

休日となっている1月12日の祝日(成人の日)に出勤させましたが、同じ週の日・土は休ませています。

祝日の出勤にも、休日出勤手当(125%)を支払っていますが、法的には週40時間におさまっていますので、休日出勤手当は不要ではないでしょうか。

【宮城・M社】

労基法第37条は、時間外または休日労働させた場合には、「2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定しています。

具体的には、政令で時間外が2割5分以上、休日が3割5分以上と定められています。

3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない休日労働とは、労基法第35条に規定されている1週1回または4週4日(この場合には4週間の起算日を定めることが必要)のいわゆる法定休日の労働です。

毎週1回の日曜日の休日のほか、土曜日、国民の祝日を休日としている場合、土曜休日、祝日に働かせても週1回の休日(日曜日)が確保されている限り、休日労働には該当せず、休日労働の割増賃金(135%)を支払う必要はありません。

しかし、その日に働かせることにより週の法定労働時間40時間を超えることになれば、超えた時間が時間外労働となり、時間外労働の割増賃金(125%)を支払わなければなりません。

行政解釈は「法第35条の休日以外の休日の労働により週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払を要するから念のため」(昭23・4・5基発第537号、昭63・3・14基発第150号)としています。

1日の労働時間が8時間で、休日とされている国民の祝日(1月12日)に出勤させても、その週の日曜日、土曜日を休ませている限り、その週の労働時間は40時間(8時間×5日)となり、週の法定労働時間40時間を超えませんので、時間外労働になりません。

割増賃金は必要なくても、所定労働日以外の休日に働かせるわけですから、その労働に対する賃金は支払わなければなりません。

どのような賃金を支払うかについては、「原則として通常の労働時間の賃金を支払わなければならない。

ただし、労働協約、就業規則等によって、その時間に対し別に定められた賃金額がある場合にはその別に定められた賃金額で差し支えない」(昭23・11・4基発第1592号)とされています。

国民の祝日(1月12日)に1日の出勤をさせても、法的には通常の労働時間の賃金(100%)の支払いでよいわけです。

貴社の場合、「祝日の出勤にも休日出勤手当(125%)を支払う」とあり、法定休日(日曜日)は3割5分、その他休日(土曜日、祝日)は2割5分増しの休日出勤手当を支払う定めになっていますので、祝日の労働には125%の休日出勤手当を支払わなければなりません。

【平成16年:事例研究より】