週をまたいで休日振替えたとき変形制でも割増が必要か【平成16年:事例研究より】

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当社は1ヵ月単位の変形労働時間制を採用し、1日の労働時間は8時間、原則として、土曜、日曜を休日としています。

休日が2日ある週の休日の1日を、変形期間内の他の週に振り替えた場合、1ヵ月の総労働時間は変わらず、週1日の休日は確保されていますが、なぜ時間外割増賃金の支払いが必要となるのでしょうか。

【栃木・K社】

1ヵ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、1.1ヵ月以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間(週40時間)を超えない範囲で、2.変形期間における各日、各週の所定労働時間を具体的に定めなければなりません。

1ヵ月単位の変形労働時間制では、その定めにより特定された週に40時間を超え、特定された日に8時間を超えて労働させることができるというものです。

つまり、1ヵ月以内の変形期間を平均して週40時間以内に収まっていれば、特定された週の所定労働時間が40時間を超える場合でも、その時間は時間外労働となりませんので、割増賃金の支払いは必要ありません。

この「特定された」とは、就業規則などによってあらかじめ1日8時間、1週40時間を超えて労働させることが具体的に定められている日、週を意味します(昭23・7・15基発第1690号)。

1ヵ月単位の変形労働時間制では、あらかじめ1日8時間、1週40時間を超えることが特定された日、週しか法定労働時間を超えて労働させることはできないということです。

また、労働させることができる限度は、就業規則などに定めた時間までです。

つまり、1日10時間と定めた日は10時間まで労働させることができ、1週48時間と定めた週は48時間まで労働させることができるわけです。

1ヵ月単位の変形労働時間制では、1週間については、週40時間を超える時間を定めた週はその時間、週40時間以下の時間を定めた週は週40時間を超えて労働した時間が時間外労働となります。

したがって、1日8時間で休日が2日ある週の休日のうち1日を次の週へ振り替えた場合、その週の所定労働時間は40時間であったにもかかわらず、休日の振り替えにより週48時間となり、あらかじめ週40時間超が特定されていない週に週40時間を超えて労働させることになりますので、超えた8時間分が時間外労働となります。

行政解釈は「完全週休2日制を採用している場合に、ある週の休日を他の週に振り替えることは可能か」という問いに対し、「休日の規定との関係では問題はないが、例えば1日の休日を他の週に振り替えた場合には、当該週2日の休日があった週に8時間×6日=48時間労働させることになり、あらかじめ特定されていない週に週40時間を超えて労働させることになるので、8時間分は時間外労働となる」(昭63・3・14基発第150号、平6・3・31基発第181号)としています。

【平成16年:事例研究より】