大幅に8時間を超える夜勤者の場合割増が必要な時間帯どこか【平成16年:事例研究より】

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当社では、一時的に多忙になることがあり、通常の所定労働時間(午前8時30分〜午後5時30分、休憩1時間)では対応できませんので、夜勤者(本人の同意を得て)を設けて処理することを考えています。

午後7時までは残業でつなぎ、夜勤者の勤務は、午後7時から翌朝午前8時30分(休憩1時間)としたい考えです。

夜勤は繁忙時2、3日ですが、時間外、深夜の時間数は何時間と計算するのでしょうか。

【愛知・T社】

労基法上、割増賃金を支払わなければならない時間外労働とは、法定労働時間(原則として1週40時間、1日8時間)を超える労働に対してです。

午後7時から翌午前8時30分まで(休憩1時間)という夜勤者の場合、2暦日にわたる勤務であっても、始業時刻の属する日の労働と解し、8時間を超えた労働には時間外割増賃金を支払わなければなりません。

また、午後10時から午前5時までの労働(深夜労働)には、深夜割増賃金を支払う必要があります。

深夜割増賃金は、労働時間の位置が深夜の時刻にあるためその支払いが要求されるものですから、深夜労働がたとえ所定労働時間内であっても、深夜割増賃金を支払わなければなりません。

時間外・深夜労働の割増賃金は、2割5分以上の率をもって割増しをつけた金額ですが、深夜労働が同時に時間外労働または休日労働である場合には、その時間外労働または休日労働の割増率はそれぞれ5割以上の率、6割以上の率となります(施行規則第20条)。

深夜労働がたとえ所定労働時間内の労働であっても、深夜割増賃金を支払わなければなりませんが、月給などの場合、深夜労働が所定労働時間内であるときは、深夜労働に対する時間当たり賃金、すなわち1.0に該当する部分は、すでに基礎となった賃金のなかに含まれていますから、加給すべき賃金額は2割5分で足ります。

時間外労働が深夜労働に及ぶ場合は、所定時間外の労働には賃金は支払われていませんので、基礎時間当たり賃金(100%)を含めて150%を支払わなければなりません。

ご質問では午後7時から翌8時30分まで(休憩1時間)とあり、休憩1時間の位置が明らかでありませんが、0時から1時までの休憩時間とすれば、8時間を超えた午前4時から午前8時30分までの4時間30分が時間外労働となります。

また、午後10時から午前5時までの7時間から休憩1時間を除いた6時間が深夜労働となります。

したがって、所定労働時間内である午後10時から午前4時まで(休憩1時間を除く)の5時間に対しては25%、午前4時から5時までの1時間は時間外労働と深夜労働が重複するので150%、午前5時から8時30分までの3時間30分に対しては時間外労働のみで125%の割増賃金となります。

時間外労働(125%)4時間30分、深夜労働(25%)6時間と計算しても同じ結果となります。

【平成16年:事例研究より】