土曜の午後3時から12時まで勤務、深夜割増が必要になるか【平成16年:事例研究より】

トップ » 残業 » 割増賃金

当社は、土・日(祝日も)が休日となっています。

業務の都合で土曜休日、祝日に出勤した場合は、代休を与えることになっています。

代休を与えるため、土曜、祝日の出勤には割増分(25%)のみ支払います。

過日、土曜に午後3時から午後12時(休憩1時間)という勤務がありました。

代休を与えることはすでに通知ずみですが、深夜(2時間)があっても、割増分(25%)の支払いでよいでしょうか。

【千葉・Y社】

労基法上、3割5分増しの割増賃金を支払わなければならない休日労働とは、労基法第35条に規定されている週1回または4週4日の、いわゆる法定休日の労働です。

週休2日制による土曜休日などに労働させても、週1回の休日(日曜日)が確保されていれば、休日労働の割増賃金(135%)を支払う必要はありません。

しかし、休日と定められた日に労働させることにより、その週の労働時間が週の法定労働時間40時間を超えることになれば、超えた時間が時間外労働となり、時間外労働の割増賃金(125%)を支払わなければなりません。

行政解釈は「法第35条の休日以外の休日の労働により週の法定労働時間を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払いを要するから念のため」(昭23・4・5基発第537号、昭63・3・14基発第150号)としています。

法定休日(日曜日)以外の休日の労働には、125%の割増賃金を支払うとありますから、土曜日の労働には割増賃金(125%)を支払わなければなりません。

代休とは、実際に休日に労働させてから、その後で休日の労働の代償として別に他の労働日を休日として休ませることです。

代休を与えても、所定休日は休日のままであり、代休により現に行われた休日労働や時間外労働が、休日労働、時間外労働でなくなるものではありません。

代休を与えても、土曜日の労働には、割増賃金(125%)を支払うことになります。

代休の日は就労しているわけでありませんから、就業規則などの定めでその日の賃金を差し引くことも可能であり、そうした定めであれば代休の日の賃金1日分を差し引くことができます。

この場合、代休により通常の賃金部分(100%)が相殺された形になりますので、結果として割増分(25%)のみを支給すればよいことになります。

貴社は、この方法をとっているものと考えられます。

時間外労働、深夜割増の割増率はそれぞれ2割5分以上ですが、時間外労働が深夜(午後10時から午前5時まで)に及んだ場合は、その割増率は5割以上でなければなりません(施行規則第20条)。

土曜休日に午後3時から午後12時(休憩1時間)まで労働させた場合には、午後10時から午後12時までの2時間が深夜労働となります。

代休を与えても、午後3時から10時までの労働に対しては25%、午後10時から12時までの2時間には50%を支払うことになります。

【平成16年:事例研究より】