パートに残業させても週46時間以内であれば1ヵ月単位の変形労働時間を適用し割増は不要か【平成4年:事例研究より】

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当社はパートタイマーを雇用しており、賃金は時間給、勤務時間は個人により6時間、7時間となっています。

パートは残業ということはほとんどないのですが、支障のない者に残業してもらうこともあり、1日8時間を超えた場合には、割増賃金を支払っています。

パートの労働時間は、残業時間を加えても週46時間以内ですから、パートに変形労働時間制を適用し、1日8時間を超えた時間にも、時間給を支給する方法はとれませんか。

【埼玉・O工業】

平成3年4月から1週間の法定労働時間は44時間とされていますが、猶予事業は平成5年3月31日までの間は46時間とされています。

 「週46時間以内」とあり、貴社は猶予事業であると思われます。

週44時間(猶予事業は週46時間)も、1日8時間もいずれも法定労働時間であることに変わりありません。

週46時間が適用される事業は、週46時間、1日8時間を超えて労働させた時間が時間外労働となります。

1ヵ月単位の変形労働時間制を採用するには、就業規則に1ヵ月を平均して1週当たりの労働時間が46時間を超えない範囲で、各週、各日の労働時間を具体的に定める必要があります。

具体的にどの日が8時間を、どの週が46時間を超えるのかを特定して定める必要があります。

就業規則には、各日の労働時間の長さだけではなく、始業及び終業の時刻を定める必要があるほか、その起算日を定める必要があります。

就業規則にこのような定めをした場合には、その定めにより特定された日に8時間を超え、あるいは特定された週に46時間を超えて労働させても時間外労働にならないというものです。

1ヵ月単位の変形労働時間制は、就業規則にあらかじめ各日の労働時間を特定し、その定めに従って労働する制度であり、「変形期間を平均し週46時間の範囲であっても使用者が任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しないものであること」(昭63・1・1基発第1号)とされています。

パートタイマーは、1日6時間、7時間の所定労働時間で採用され、あらかじめ8時間を超えて労働させる日とその時間数が特定されているわけでありませんから、1ヵ月単位の変形労働時間制を適用することができないといえます。

したがって、週46時間以下であっても、1日8時間を超えた場合には、その超えた時間が時間外労働となり、割増賃金を支払わなければなりません。

【平成4年:事例研究より】