遺族補償給付は、死亡者の名で申請するのか【平成16年:事例研究より】

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遺族補償給付に関して、基本的な疑問があります。

労災保険に加入しているのは労働者なので、死亡した場合も補償の請求は形式的に本人名義になるのでしょうか。

健保の場合、家族に対する給付も被保険者本人が受取人になるので、そう考えるのが正しいように思います。

【熊本・H男】

遺族補償給付には、遺族補償年金と遺族補償一時金の2つがあります。

遺族補償年金の方が給付内容は手厚く、それだけ支給される親族の範囲も狭まります。

遺族補償一時金の対象者で、もっとも優先順位が後なのは、労働者と生計維持関係にない兄弟姉妹です。

遺族補償給付を受ける者は最優先順位にある親族ですが、「請求は被保険者名義でないと理屈に合わない」というのがご質問の趣旨と解します。

名義ということばがはっきりしませんが、もちろん請求書の中には死亡労働者の氏名、所属事業場の労働保険番号等を記入します。

そうでないと、労災保険に基づく権利があるのか、確認できません。

しかし、請求人として、記名・押印するのは受給権のある親族本 人です。

労災保険法施行規則第15条の2では、「遺族補償年金の支給を受けようとする者が、請求書を提出する」と定めています。

遺族補償一時金も同様です(同第16条)。

同順位者が2人以上いるときには、代表者を選任し、受給権者が連名で記名・押印した届出を所轄労基署に提出するのが原則です。

健康保険の家族給付との絡みで話が混乱しているようですが、健保の被保険者本人が死亡した場合も、埋葬料や未支給の保険給付については支給を受ける者の名で請求書を出します。

【平成16年:事例研究より】