運転者か車を車庫へとりに行く途中の往復行為は通災となるか【平成4年:事例研究より】

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当社は市の中心部にありますが、駐車場を持たないため、車庫を会社より相当離れた社員寮の横に設けており、運転者は毎日、直接その車庫へ行き役員の送迎を行っています。

他の従業員の場合と異なり、会社の特殊事情にやむを得ず離れた所にあるので、車庫へ行くまでの間に災害が起きた場合、業務災害、通勤災害のいずれになるのでしょうか。

【愛知H社】

朝、車庫から役員宅へ役員を迎えに行き、会社まで送る過程、夕方、会社から役員宅を回って車を車庫へ納めるまでの過程については、運転者に課せられた当然の業務ですから、その間の災害は特別の事情がない限り、原則として業務災害となります。

やむを得ない事情によって、会社より相当離れた場所に車庫を設けたといっても、運転者という職務がら車庫へ行って車を動かすことが本来の業務である以上、自宅から車庫までの往復は一般労働者の通勤と変わりありません。

通勤災害として労災保険の対象になる通勤とは、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により。往復すること」(労災法第7条)と定義され、就業の場所とは、業務を開始し、または終了する場所をいいます。

一般従業員の場合、本来の業務を行う場所(会社)ということになりますが、ご質問の運転者は車庫が、業務を開始する場所であり、業務を終了する場所であり、車庫が就業の場所となります。

したがって、朝、自宅から車庫への途上の災害は、合理的な経路、方法によっている限り通勤災害となります。

また、車庫に車を納めて、車庫から自宅への途上は通勤災害となります。

会社の特殊事情といっても、自宅から車庫へ、車庫から自宅への往復行為は、事業主の支配下になく、業務災害になりません。

【平成4年:事例研究より】