診断書の提出廃止で障害が重くなったら等級見直しか【平成16年:事例研究より】

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法律改正で、労災年金の受給権者は定期的に診断書を提出しなくてよくなったと聞きます。

障害が軽くなった人は、年金額の改定がないので得しますが、重くなった人は逆に不利になる気がします。

障害等級の見直しは、どのような形で実施するのでしょうか。

【富山・H社】

平成15年4月から、障害補償年金(障害年金)の受給権者が提出する書類が削減されました。

従来、労災保険法施行規則第21条(年金たる保険給付の受給権者の定期報告)では、添付書類として、1カ月以内に作成された1.受給権者の住民票の写、又は戸籍の抄本2.障害の部位及び状態に関する医師、又は歯科医師の診断書の2つが挙げられていましたが、このうち2.が削除されています。

労災年金を適正に支給する観点から、受給権者には各種書類を提出することが義務付けられていますが、障害(補償)年金に関しては、毎年の診断書提出は必要ないという方針が取られました。

これに対し、傷病状態が固定しない傷病(補償)年金では、引き続き提出が求められます。

しかし、障害等級の改定措置が、今後、一切実施されないという意味ではありません。

障害補償年金の改定については、労災保険法第15条の2に規定があり「(障害等級が変わったときは)新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給する」という仕組みがそのまま踏襲されています(通勤災害も同じ規定を準用)。

障害の状況に変化があったとき、受給権者は従来どおり等級変更の申請ができる(労災保険法施行規則第14条の3)ので、心配はいりません。

【平成16年:事例研究より】