生計維持の判断で遺族に年収基準あるか【平成15年:事例研究より】

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遺族基礎年金・厚生年金では、死亡した被保険者により生計を維持されていた遺族という場合、年収850万円未満という基準があります。

労災保険の遺族補償の場合、生計維持関係を判断するに際して明確な数字基準が存在するのでしょうか。

【滋賀 H社】

労災保険の遺族(補償)給付は、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」一定範囲の家族が対象になります。

この場合の生計維持関係は、労災保険法施行規則第14条の4により、厚生労働省労働基準局長が定める基準に即して判断されます。

当該基準をみますと、まず「その収入によって日常の消費生活の全部又は一部を営んでおり、死亡労働者の収入がなければ通常の生活水準が困難となるような関係が常態であったか否かにより判断することという一般論を述べています。

国民年金法・厚生年金保険法のように、年収いくら未満のような数字の要件はありません。

「遺族の生活水準が年齢、職業等の類似する一般人のそれを著しく上回る場合を除き」、消費生活の一部でも死亡労働者に依存していれば、生計維持関係にあったと認められます。

具体的には、同居し共に収入を得ていた場合は、互いに生計を依存し合っていたと判断されます。

共働きの夫婦などが、典型的です。

一方、同居の祖父母が死亡しても。

同居の父親に一般消費水準を満たす収入があれば、孫と祖父母の間に生計依存関係はなかったとみなされます。

【平成15年:事例研究より】