災害原因、発生状況について現認者がいない事故に事業主はどのように証明すればよいか【平成4年:事例研究より】

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当社の男子従業員(47歳)が、運搬中にギックリ腰になったといってきました。

10キロくらいの物を運んだことは事実ですが、現認者もなく作業中に腰を痛めたものかどうか明らかではありません。

本人は「労災事故」というのですが、業務上かどうかは微妙だと思います。

災害発生状況が明らかでない場合でも、事業主は労災請求書に証明しなければなりませんか。

【福岡・M工業】

労災保険給付の請求に当たっては、その請求書に「負傷又は発病の年月日」、「災害の原因及びその発生状況」などについて事業主が証明しなければなりません。

これは「業務災害」であることを証明するものではありません。

負傷または発病の年月日、災害の原因。・発生状況など、少なくともわかっている事実をありのままに証明すればよいのです。

業務災害であるかどうかを決定するのは、あくまで所轄労基署長です。

労災保険給付を受けるに必要な証明を求められたときは、事業主はすみやかに証明しなければなりません。

労災保険法施行規則第23条(事業主の助力等)第2項は、「事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならない」と規定しています。

災害の原因・発生状況が明らかでなくても、「どのような場所で、どのような作業をしているときに、これこれの状況で腰を痛めたという申し出があった」と証明し、、労基署長の決定を仰ぐべきです。

【平成4年:事例研究より】