業務上災害で休業していた社員が半日勤務後、午後早退して通院、休業補償はどうなるか【平成4年:事例研究より】

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業務上の負傷で休業していた従業員が、間もなく出勤しはじめます。

まだ完全になおったわけではなく、通院しながら勤務するという状態がしばらく続きそうです。

半日勤務で早退して通院するという場合、引き続き休業補償給付は支給されますか。

差額が支給されると聞いたのですが、差額は具体的にどのように計算されるのでしょうか。

【広島・S社】

業務上の傷病の療養のため、休業する日については、通常、1日につき休業補償給付として給付基礎日額の60%の額が支給されます。

しかし、通院のため、所定労働時間の一部についてのみ休業する場合には、実際に労働した分については、賃金が支給されるため、その日の休業補償給付は、給付基礎日額から支給される賃金を控除した額の60%が支給されます。

一部休業の場合の休業補償給付について、労災保険法第14条は「所定労働時間のうちその1部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額から当該労働者に対して支払われる賃金の額を控除して得た額の100分の60の額」と規定しています。

したがって、通院する日に実際に労働した時間分の賃金しか支払われない場合は、給付基礎日額からその賃金額を差し引いた額の100分の60の額が支給されます。

たとえば、 1日の平均賃金1万円 所定労働時間8時間 実労働時間4時間 実労働時間に支払われる賃金を5,000円としますと、1万円から5,000円を差し引いた5,000円の60%である3,000円が、一部休業(通院)の日の休業補償給付となります。

通院日に、実労働時間に支払われる5,000円と差額の60%である3,000円を加えた8,000円以上の賃金が支払われている場合には、休業補償給付は支給されません。

なお、休業特別支給金も、給付基礎日額から実際に労働した部分の賃金を差し引いた額の20%が支給されます。

【平成4年:事例研究より】