業務上で障害補償年金を受けた場合、6年後障害厚生年金も請求できるか【平成16年:事例研究より】

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業務上の災害で、障害補償年金を受けた場合、同じ理由で障害厚生年金等の支給を青求できるのでしょうか。

法文を読むと、「労基法の規定による障害補償を受けるときは、6年間支給を停止する」という規定がありますが、6年後に請求可能という意味でしょうか。

【愛媛・W社】

厚生年金法では「老齢、障害又は死亡について保険給付を行う」(厚年法第1条)と規定し、健康保険法のように「業務外の事由による疾病、負傷…に関して保険給付を行う」(健保法第1条)という制限がついていません。

障害厚生年金についても、「疾病にかかり、又は負傷し、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、支給する](厚年法第47条)とだけ定められています。

ですから、原則的には、業務上の事由により障害を受けた者も年金の権利がありますが、併給調整や支給停止の規定がないかチェックが必要です。

ご指摘のとおり、厚年法第54条には、労基法との調整規定が設けられ、「6年間支給停止」と定められています。

しかし、これは業務上のヶが等で障害補償の対象となる人すべてを意味しているわけではありません。

あくまで、「労基法に基づく補償」を受ける人に限られます。

労基法の障害補償に年金はなく、障害等級1級でも一時金で支給するのが原則です。

ただし、「支払い能力のあることを証明し、同意を得た場合」には、6年にわたり分割することが可能です(労基法第82条)。

厚年法第54条は、この規定を念頭において設けられたものです。

労災保険に基づき年金を受給する場合には、障害厚生年金は支給停止にはなりません。

厚生年金は満額が支払われ、労災保険の障害補償給付の方が、併給調整を受けるという扱いになります。

具休的には、労災保険の障害補償給付は、障害厚生年金と障害基礎年金の両方を同時に受けるときは73%に、障害厚生年金だけを受けるときは83%に、それぞれ減額されます。

【平成16年:事例研究より】