昼休みに自宅で昼食をとるための往復は通災扱いと聞くが、店への食事外出は対象外か【平成4年:事例研究より】

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昼休み時間中に昼食のため帰宅し、昼食を済ませた後、午後の勤務に就くため出社途中に負傷した場合は、通勤災害になると聞いています。

昼休みに外部の食堂に食事に出かけ、その途中で負傷した場合は、通勤災害とはならないのでしょうか。

昼休み食事外出の災害についてお教えください。

【神奈川・T社】

通勤災害として労災保険の対象となる通勤とは、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路および方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」(労災法第7条第2項)とされています。

したがって、1.往復行為が業務に就くため、または業務を終了したことにより行われるものであること2.自宅など住居と会社など就業の場所を起点、終点とすること3.会社通念上からみて、合理的とされる経路および方法によること一一でなければなりません。

住居とは、労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところです。

就業の場所とは、労働者が業務を開始し、または終了する場所をいいます。

出勤の場合、寝すごしなどで遅刻したり、朝のラッシュを避けるため通常より早く出たりして、時間的に多少のズレがあっても就業との関連性が認められます。

退勤の場合、所定の就業時間終了前に早退(5時終業で4時に早退)をする場合であっても、その日の業務を終了して帰宅するものと考えられますので、就業との関連性が認められます。

また、通勤は1日について1回だけしか認められないというわけではありませんので、昼休みにいったん帰宅し、昼食を済ませて再び出社するような場合であっても、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くため出勤するものと考えられますので、その往復行為に就業との関連性がみとめられます。

したがって、昼休み時間中に帰宅し、午後の勤務に就くための出社中の災害は通勤災害と認められます。

一方、昼休み時間中に外部のレストラン、食堂などで食事をするため、会社の外に出た場合は、まったく個人的な行為であり、食堂は住居ではありませんので、その間の災害は通勤災害とは認められません。

また、会社の外に出た場合には、事業主の支配管理下を離れていますので、業務災害にもなりません。

【平成4年:事例研究より】