公務災害と労災の災害補償とでは扱いが違うか【平成4年:事例研究より】

トップ » 労災 » 労災とは

知人に地方公務員がいますが、地方公務員の場合には宿直や日直に行く途中や帰る途中に災害が発生すると、公務災害になるといいます。

公務災害というのは労働災害、つまり業務災害と同じだと思いますが、労災保険ではそんなときに労災扱いになったということを聞いたことがありません。

公務員の場合には、何か災害補償に関する規定が違っているのでしょうか。

【北海道・N男】

公務員の災害補償制度は、国家公務員については国家公務員災害補償法が中心で、その他に裁判所や防衛庁等については別の補償法規が制定されています。

地方公務員については、常勤職員には地方公務員災害補償法が適用され、非常勤職員にはその実態に応じて労働基準法や労災保険法、場合によっては船員法や船員保険法等が適用されます。

一般に公務員の災害補償の場合には、国家公務員でも地方公務員でも労働災害といわないで公務災害と称しています。

では公務災害とはどのような災害をいうのかといいますと、国家公務員災害補償法にも地方公務員災害補償法にも何らの定義も見当たりません。

前者については人事院が後者については地方公務員災害補償基金が解釈によって決めています。

それによりますと、労働省の労働災害に対する考え方と変わっていません。

それが実際の判断になると、同じような事例についてどうして違ってくるのでしょうか。

その理由は労働災害(公務災害)の考え方からきているのです。

そこで労働災害とは何かということについて労働省はどう考えているかといいますと、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることが原因で発生した災害を労働災害として扱っているのです。

よく業務遂行性とか業務起因性とか難しいことをいいますが、事業主の支配下にある状態を業務遂行性があるというのですし、そのことが原因で災害が発生することを業務起因性があるというのです。

この場合の原因・結果の関係ということについては、労働省は相当因果関係が認められる範囲内に限定していることはご存知のとおりです。

以上述べたうち業務という表現を「公務」と換えれば、それがそのまま人事院とか地方公務員災害補償基金の考え方として通用します。

ところで、ご質問の地方公務員については地方公務員災害補償基金の認定基準(昭48・11・26地基補第539号)を見ますと、労災保険の取り扱いでは業務災害にはならない次のような途上で発生した災害も公務災害とされます。

1 午後10時から翌日の午前7時30分までの間に開始する勤務につくことを命ぜられた場合の出勤の途上 2 午後10時から翌日の午前5時までの間に勤務が終了した場合の退勤の途上 3 宿日直勤務を命ぜられ、直接当該勤務につくため出勤し、または当該勤務を終了して退勤する場合の出勤又は退勤の途上 4 引き続いて24時間以上となった勤務が終了した場合の退勤の途上 5 休日、祝日、年末年始の休暇等の勤務を要しない日に特に勤務することを命ぜられた場合の出勤または退勤の途上 6 通常の勤務が終了した後に四時間以上時間外勤務に服した場合の退勤途上(土曜が半日勤務の場合には、午後5時退勤でも該当する) では、このような労災保険の場合には一般的に業務災害には該当せず通勤災害とされるものが、公務員についてはどうして公務災害として扱われるのでしょうか。

このことについて地方公務員災害補償基金は「社会通念上異常な時間帯に出退勤する場合の災害について、その異常な時間帯に着目して管理者の拘束性を認め、一般的に公務上の災害として取り扱うこととしたものであること」とか、「特別な状況に管理者の拘束性を認め」(昭48・11・26地基補第541号)とかいうことでその理由を説明しています。

つまり、公務員の場合には、労災保険法の適用される労働者よりも管理者による拘束性が強く、それだけ通勤途上にも使用者の支配力の及んでいる場合が多いという考え方です。

その結果、労災保険の場合には、ようやく本年2月1日以降、海外派遣労働者も含めて赴任帰任途上に発生した災害の業務上扱いが認められましたが(平3・2・1基発第75号)、前述しました基金の認定基準の中には、最初から海外も含めて「赴任の期間中」災害が公務災害として掲げられています。

以上述べましたことは、国家公務員についても概ね同じと考えてよいでしょう。

【平成4年:事例研究より】

社労士先生限定!今日から取り組めて売上を伸ばす方法。初期費用ゼロでリスクなし