偽関節の意味と障害等級の決め方教えて【平成16年:事例研究より】

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労災保険の障害等級表をみますと、第7級と第8級に、上肢と下肢について偽関節がある場合のことが定められています。

しかし、偽関節というのは聞いたことがないのでどんなものか分かません。

また、「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」と「偽関節を残すもの」は、どのように区別して決定されるのでしょうか。

【福島・B社】

偽関節とは、一般に、長管骨(上肢においては上腕骨、橈骨及び尺骨をいい、下肢においては大腿骨、脛骨及び腓骨をいいます。)骨折後のゆ合が不完全である(つながらない)ため、本来関節ではない部分が一見関節であるかのように異常可動するものをいいます。

労災保険の障害等級の決定に当たっては、「骨折等により、長管骨の骨片間のゆ合転機が止まって異常可動を示すもの」を「ゆ合不全」といい、これが生じた箇所によって上肢の保持機能又は下肢の支持機能に与える影響が異なることを踏まえて、「ゆ合不全」が生じた箇所と硬性補装具を必要とする程度に応じて障害等級を決定することとされています。(厚生労働省労働基準局長通達.平成16年6月4日付け基発第0604003号)。

具体的な基準
  1. 上肢について
    1. 「1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」(第7級の9)とは、次のいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするものをいいます。
      • ア.上腕骨の骨幹部又は骨幹端部(以下「骨幹部等」といいます。)にゆ合不全を残すもの
      • イ.橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
    2. 「1上肢に偽関節を残すもの」(第8級の8)とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
      • ア.上腕骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記(1)のア以外のもの
      • イ.橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記ア(1)のイ以外のもの
      • ウ.橈骨及び尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性補装具を必要とするもの
    3. 次のものは「長官骨に変形を残すもの」(第12級の8)に認定することとされています。
      • ア.長官骨の骨端部にゆ合不全を残すもの
      • イ.橈骨又は尺骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、硬性補装具を必要としないもの
  2. 下肢について
    1. 「1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするものをいいます。
      • ア.大腿骨の骨幹部等のゆ合不全を残すもの
      • イ.脛骨及び腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
      • ウ.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの
    2. 「1下肢に偽関節を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
      • ア.大腿骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記(1)のア以外のもの
      • イ.脛骨及び腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記(1)のイ以外のもの
      • ウ.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、上記(1)のウ以外のもの
    3. 次のものは「長官骨に変形を残すもの」(第12級の8)に認定することとされています。
      • ア.大腿骨又は脛骨の骨端部にゆ合不全を残すもの
      • イ.脛骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの

【平成16年:事例研究より】