会社が義務づけていない就業時間前後の準備、後始末作業での事故は業務上となるか【平成4年:事例研究より】

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当社の労働時間は、午前8時30分から夕方5時までとなっていますが、作業の準備や後始末が所定就業時刻の午前8時30分、夕方の5時以降になる場合があります。

会社としては所定時間外の作業準備や後始末を義務づけているわけではありませんが、作業準備、後始末のとき、負傷したという場合、労災として取り扱われますか。

【大阪・H工業】

労働者が作業時間(所定労働時間)の前後において、作業準備、後始末をしているときに発生した災害は、事業主の支配下において発生し、その行為は担当業務と密接な関係を有していますから、一般に業務災害となります。

たとえば、作業開始前に作業の準備として1.工具を運搬する2.機械の調子をみる−などの場合にこうむった災害は、就業時間中の災害と同様にみられ、業務災害となります。

また、作業終了後1.機械器具の手入れを行う2.後片づけを行うーなどの場合の災害は作業の延長とみられ、業務災害となります。

このような行為は、業務に付随するものとして、業務行為とみなされます。

ですから、このような行為が原因となって災害が発生した場合には、業務起因性が認められるわけです。

ご質問の場合のように、所定労働時間前後の作業準備や後始末を会社が従業員に明示的に義務づけていなくても、その職務とか仕事の内容などから、当然予想される行為である場合には、やはり業務災害といえます。

所定就業時間外であっても、労災保険の対象になります。

【平成4年:事例研究より】