バスの通勤手当を支給されている者が自転車通勤で事故、通災扱いとなるか【平成4年:事例研究より】

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自宅から最寄り駅までバス通勤をして申請し、バスの通勤手当を受領しているにもかかわらず、日によってバスを利用せず、自転車で通勤する場合があります。

こうした場合、その通勤途上で事故にあった場合、勝手に他の経路、手段によって通勤しているということで通勤災害と認められないのではないかと心配です。

通勤方法が異なっても通災ですか。

【埼玉・A社】

労災保険でいう通勤災害とは、労働者が業務に就くため、あるいは業務を終えたことにより、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法により往復する場合に、それに通常伴う危険が具体化して生じた災害をいいます。

通勤と認められるには、合理的な経路であり、かつ、合理的な方法でなければなりません。

いかなる経路および方法をもって合理的といえるかといいますと、住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般に労働者が用いると認められる経路及び手段をいうとされています。

経路については、乗車定期券に表示され、会社に届け出ている鉄道、バストの通常利用する経路はもちろんのこと、通常これに代替することが考えられる経路、たとえば、いつもは鉄道を利用しているが、バスによる通勤も可能というように通常これに代替することが考えられる経路が合理的な経路となります。

また、合理的な経路は必ずしも一つに限られるものではなく、通常利用されることが考えられる経路が2、3あるような場合には、その経路はいずれも合理的な経路となります。

しかし、特段の合理的な理由もなく著しく遠回りとなる経路をとる場合には、合理的な経路とは認められません。

合理的な方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用したり、自動車、自転車等を本来の用法にしたがって利用する場合、徒歩等の場合など通常用いられている交通方法は、その労働者が通常用いているか否かにかかわらず、一般に合理的な方法と認められます。

会社からバス通勤による通勤手当が支給されているにもかかわらず、自転車を利用したとしても、著しく遠回りをしたのではなく、会社への一般に利用する経路を通って出勤(退勤)したのであれば、合理的な経路となります。

また、自転車を利用しても、それは一般に利用されている交通方法ですから、合理的な方法と認められます。

したがって、通勤手当が支給されているバス通勤者が、自転車を利用したとしても、通勤が予定される順路によっている限りその通勤途上の災害は通勤災害と認められるでしょう。

【平成4年:事例研究より】