配置薬会社に任せっぱなしだが、救急箱に何を常備するか【平成15年:事例研究より】

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労働安全衛生法では、会社に薬や救急用具を入れた救急箱を常備しておかなければならないという規定があると聞きましたが、具体的にどのような規定となっているのでしょうか。

救急箱の中身としては、どのような薬や用具でなければいけませんか。

当社は、食品卸売業ですが、全国各地にある営業所も含め、配置薬会社の置いていった救急箱を利用しています。

その救急箱に入れてある薬や救急用具の中身については、配置薬会社の営業の人に任せている状態ですが、それで問題はないでしょうか。

【静岡 Y社】

労働安全衛生法には第23条で「事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない」と規定しています。

この規定にある「必要な措置」の一つとして常備薬の設置の規定が、労働安全衛生規則にあります。

労働安全衛生規則第633条は、「事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。

事業者は、前項の救急用具並びに材料を常時清潔に保たなければならない」としています。

同様に労働安全衛生規則第634条では、救急用具の内容として、「事業者は、前条第1項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなければならない。

1.ほう帯材料、ピンセット及び消毒薬 2.高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬 3.重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等」としています。

また、同じ労働安全衛生法を根拠とする事務所衛生基準規則の第23条にも「事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。

事業者は、前項の救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない」と規定されています。

救急箱の常備を義務づける規定は以上ですが、救急箱の中身については、御社の場合、卸売業事業の内容によることとなります。

御社の場合、卸売業とのことですから、通常は事務作業が中心と思われますので、救急用具および材料として、ほう帯、ピンセットおよび消毒薬で足りることとなりますが、倉庫等で高所作業やフォークリフトを使用する作業などがある場合には、重傷者を生ずるおそれのある作業場として、止血帯、副木、担架等を備えておく必要があります。

事務所において配置薬会社の救急箱を利用している場合、一般に2〜3ヵ月に1回程度の頻度で配置薬会社の営業員が訪問してきて、利用した薬品等を確認して補充等を行うとともに、薬品の使用期限を確認して交換する他、救急箱が汚れている場合には清掃を行うシステムとなっていると思いますので、これらの配置薬の費用を事業場負担としているのであれば、各事業場として、労働安全衛生法の規定による救急用具を備え、必要な管理を行っていることとなりますので、労働者に救急箱の置いてある位置や使用方法を周知しておけば問題はないと思われます。

なお、救急用具の品目の中にある消毒薬や火傷薬以外の薬については、事業場として常備する義務はないということになりますが、配置薬の救急箱の中身には、風邪薬や胃腸薬等の内服薬もあり、労働者がそれらを使用することもあると思われます。

これら労働安全衛生法の義務外の薬については、その利用料金を事業場が負担する義務はないのですが、福利厚生面の措置として事業場負担として処理されている例が多いようです。

【平成15年:事例研究より】