3ヵ月の失業手当の給付制限に不服、申立てはどこにするか【平成4年:事例研究より】

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私は数年前からある会社で働いていましたが、自分に合わないと思って退職しました。

そして公共職業安定所に行き、求職申し込みをし、同時に失業給付の申請をしたところ、自己都合による退職のため3ヵ月の給付制限を受けました。

納得がいきませんので、このようなときの不服申立ての制度について教えてください。

【滋賀S男】

原処分を知った日の翌日から60日以内に、都道府県の雇用保険審査官に対して審査請求をしてください。

一般に行政庁の違法または不当な処分、その他公権力の行使に当たる行為によって自己の権利、利益を侵害された者は、行政庁に対して不服申立てをすることができます。

不服申立てに関する法律には行政不服審査法がありますが、雇用保険においては行政不服審査法の特例として設けられているのが、この審査制度です。

この制度で扱われるのは、被保険者となったこと、または被保険者でなくなったことの確認に関する処分、失業給付に関する処分、不正受給に係る失業給付の返還命令、または納付命令に関する処分についてなどです。

 失業給付以外の雇用保険に関する処分、たとえば雇用安定事業等四事業に係る給付金に関する処分、労働保険料の徴収の処分等についての不服申立てについては、雇用保険における特別の審査制度の対象とされていません。

これらについては行政不服審査法の定めるところにより、不服申立てを行うことになります。

次に審査請求の手続きについてですが、請求人は公共職業安定所の処分のあったことを知った日の翌日から起算して60日以内に審査請求をしなければなりませんが、この期間内に審査請求をすることができなかったことについて正当な理由があることを疎明した場合は例外がみとめられます。

そして、審査請求は直接、雇用保険審査官に書面(審査請求書)または口頭によって行うか、あるいは処分を行った公共職業安定所長または居住地を管轄する公共職業安定所長を経由して行います。

このような手続きによりなされた審査請求は、雇用保険審査官により審理が行われ、審査請求の却下、棄却または原処分取消しのいずれかの決定がなされ、決定書の謄本が審査請求人に送付されます。

そして、この雇用保険審査官の決定に不服のある場合は、さらに第2審手続きとして労働保険審査会に対し、審査決定書の送付を受けた日の翌日から起算して60日以内に再審査請求を行うことができます。

再審査請求については、必ず書面で行われなければなりません。

直接審査会に対して再審査請求書を送付するか、処分を行った公共職業安定所長、居住地を管轄する公共職業安定所長または雇用保険審査官を通じて行います。

再審査請求の期間その他の点については、雇用保険審査官に対する審査請求の場合と同様です。

なお、失業給付等に関する処分の取消しの訴えは、再審査請求に対する審査会の裁決を経た後でなければ提起することができません。

処分の取消しの訴えは、審査請求をすることができる場合においても直ちに提起することができることになっていますが、失業給付等に関する処分については、その処分の有する専門技術的な性格にかんがみ、簡易迅速な審査請求制度を設けた趣旨を生かすため、このように審査請求前置主義が採用されているわけです。

【平成4年:事例研究より】