駐在とどこで線引きされるか、届出が必要な転勤とは何か【平成16年:事例研究より】

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当社の従業員を仙台営業所から横浜営業所に転勤させる場合、雇用保険の手続きはどのように行えばよいのかご教示ください。

また、転勤の定義についても、解説をお願いします。

【宮城・Y社】

事業主は、その雇用する被保険者を当該事業主の一の事業所から他の事業所へ転勤させたときは、その事実があった日の翌日から起算して10日以内に転勤後の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に転勤届を提出しなければなりません。

転勤届を受理した安定所長は、資格取得届を受理した場合に準じて通知その他の事務処理を行うほか、転勤届受理通知書(転勤前事業所通知用)を用いて、転勤前事業所にこれを通知します。

この場合の「転勤」とは、被保険者の勤務する場所が同一の事業主の一の事業所から他の事業所に変更されるに至ったことをいいます。

したがって、単なる出張または駐在は転勤とは認められません。

この場合、転勤であるか単なる駐在または出張であるかの判断は、辞令の交付、直接の指揮監督者の変更、給与の支給場所の変更の有無等を総合的に判断して決定します。

転勤と認められない短期の出張、駐在等の場合には、転勤に関する届書を提出する必要はなく、従来どおりの事業所に勤務しているものとして取り扱います。

この短期とは、おおむね2ヵ月ないし3ヵ月の期間を指しますが、事業の性質上有期の工事に従事するような場合(土木建築業等)は、2ヵ月ないし3ヵ月以上であっても転勤と認められない場合があります。

転勤と認められた場合は、転勤前の事業所と転勤後の事業所とが同一の安定所の管内である場合でも転勤届の提出を要するものであり、事業主が慣習上転勤として取り扱っているか否かには関係ありません。

また、転勤は事業所間のものですから、一の事業所と認められない施設に異動した場合は、届出を要しません。

ただし、その施設の直近上位の事業所が異動前の事業所と異なるときは、届出を要します。

事業主が、その雇用する被保険者を転勤させたときに提出する届出は、転勤後事業所において代理人が選任されていない場合は事業主の名をもって提出し、代理人が選任されている場合はその事業主代理人の名で提出すれば足ります。

なお、転勤届は転勤後の事業所からその所在地を管轄する安定所に提出するものですので、転勤前事業所に事業主代理人が選任されている場合であっても、当該代理人の名で提出することはできません。

また、雇用する被保険者を転勤させると同時にその者との雇用契約を変更し、就業時間を変更した結果、区分変更を行う必要が生じたような場合、区分変更届を提出することとなり、転勤に関する届と区分変更に関する届を同時に提出するものですので、提出の期限は転勤届と同様に雇用する被保険者を転勤させた日の翌日から起算して10日以内となります。

【平成16年:事例研究より】