基本手当受給者か就職、職安に申告せず不正受給したとき事業主も責任問われるか【平成4年:事例研究より】

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先日、正社員として雇い入れた者が、当社に就職したことを公共職業安定所に申告せず、基本手当の支給を受けていたことが分かり、不正受給として処分されるとのことです。

どのような処分がなされるのでしょうか。

また、事業主も責任を問われるのでしょうか。

【東京Yスーパー】

不正受給とは、本来、支給を受けることができないにもかかわらず、虚偽の申告等偽りその他不正の行為により、失業給付の支給を受け、または受けようとしたことをいいます。

ご質問の場合のように就職していたにもかかわらず、その事実を申告せず、失業状態にあると偽って基本手当を受給したことも不正受給となります。

このように、偽りその他不正の行為により失業給付の支給を受け、または受けようとした者に対しては、不正の行為の日以後すべての失業給付の支給が停止され、不正受給に係る失業給付について返還命令および納付命令の処分か行われます。

また、不正受給を幇助した事業主に対しては、不正受給に係る返還および納付について連帯責任が課されることもあります。

1.支給停止 偽りその他不正の行為により失業給付の支給を受け、または受けようとした者については、原則として当該給付の支給を受け、または受けようとした日以後、失業給付は支給されません。

ご質問の場合のように、基本手当について不正受給を行った者に対しては、その日以後失業状態になったとしても基本手当はもちろん、再就職手当などについても支給は行われなくなります。

なお、不正受給の日以後、新たに受給資格を取得した場合は、その新たな受給資格に基づく失業給付の支給は受けられます。

2.返還命令 公共職業安定所長は、不正受給者に対して偽りその他不正の行為によって支給を受けた失業給付の全部、または一部の返還を命ずることができることとされています。

ここで、偽りそのその他不正の行為によって支給を受けた失業給付とは、まず受給権がないのに不正の行為によって受給した失業給付(例えば、就職していた日について就職していたことを申告せず支給を受けた基本手当など)であり、次にそのために上記1により受給権を喪失しているのに受給した失業給付であり、受給権を喪失しているのに受給し続けることは偽りその他不正の行為と解されます。

この場合、当該不正受給が、事業主の虚偽の届出、報告または証明によるものであるときは、事業主に対して不正受給者と連帯して不正受給金の返還を命じられることがあります。

3.納付命令等、悪質な不正受給者に対しては、不正に受給した額を返還させるとともに、さらに直接偽りその他不正の行為によって支給を受けた失業給付の額に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができることとされています。

この場合に、事業主にも連帯して納付を命令することがあるのは、返還命令の場合と同様です。

【平成4年:事例研究より】