どんなケースでお咎めある?不正受給の制裁知リたい【平成16年:事例研究より】

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私は雇用保険を受給している者ですが、不正受給の場合、厳しい処分かあると聞きました。

どのようなときに不正受給となり、どのような制裁が科されるのか教えてください。

【京都・N男】

不正受給についてのご質問ですが、失業給付の支給を受ける手続きのなかで、次に掲げるような不正手段や偽りの申告を行った場合などには、実際に支給を受ける前であっても、また、いかなる動機にもかかわらず、「不正受給」として厳しい処分が行われます。

1.離職票、その他各種証明書および支給申請書などの内容を偽って記載し、または改ざんしたものを使用したとき。

2.「受給資格者証」を他人に譲り渡したり、他人に失業の認定を受けさせたとき。

3.労災保険による休業補償給付や健康保険の傷病手当金などを受給しているにもかかわらず、その事実を届け出なかったとき。

4.失業認定申告書に偽りの申告を行ったとき。

このように、偽りその他不正の行為により支給を受け、または受けようとした者に対しては、不正の日以後すべての失業等給付の支給が停止され、不正受給による失業等給付については返還命令および納付命令の制裁措置が行われます。

1 支給停止 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受け、または受けようとした者については、当該給付の支給を受け、または受けようとした日以後すべての失業等給付の支給は行われなくなります。

ただし、日雇労働求職者給付金については、不支給となるのは失業等給付を不正に支給を受け、または受けようとした月およびその月の翌月から3ヵ月間に限ります。

ただし、その不正受給を行ったことについてやむを得ない事情があると認められる場合には、支給停止とされるべき失業等給付の全部または一部を支給することができることとされています。

これを宥恕(ゆうじよ)といいます。

2 返還命令 公共職業安定所長は、不正に失業等給付を受給した者に対して、すでに支給した失業等給付の全部または一部の返還を命ずることができるとされています。

この場合、不正受給が事業主の虚偽の届出、報告または証明によるものであるときは、その事業主も連帯して返還を命ぜられます。

3 納付命令等 悪質な不正受給者に対しては、不正に受給した額を返還させるとともに、さらにその不正に受給した額の2倍に相当する額以下の金額を納付すべきことを命ずることができることとされています。

この場合に、事業主にも連帯して納付を命ずることがあるのは、返還命令の場合と同様です。

なお、悪質な不正受給者については、詐欺罪等で刑法上の罰が加えられることもあります。

【平成16年:事例研究より】