障害等級3級たった従業員が、3級に該当しなくなったと判断され、年金が止まってしまいました。
症状の軽快自体は喜ばしいことですが、収入が減るのはやはり大問題です。
将来、症状が悪化したとき、再び年金をもらえる保証はあるのでしょうか。
【神奈川・N社】
障害等級3級は、「労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害がある状態をいいます。
[労働により収入を得ることができない]とまではいえませんが、相当程度に制限を受けるため、その保障として年金が支給されます。
症状が軽快すれば、当然、年金を支払う理由がなくなりますが、受給権そのものが消滅するわけではありません。
厚生年金法第54条では、「受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない問、その支給を停止する]と定めています。
あくまで、支給が停止されるだけで、再び障害の状態に該当すれば、停止が解除されます。
しかし、1、2年ならともかく、10年を超えて支給停止が続くようなら、どうでしょうか。
どこかで受給権が失われるタイムリミットがあるのではないか、そういう不安もあるでしょう。
この点に関しては、厚生年金法第53条に失権事由が定められていますが、原則として「障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、65歳に達したとき」に受給権が消滅します。
ただし、65歳に達したとき、障害等級に該当しなくなった日から起算して3年を経過していないときは、3年を経過したときとなります。
以前は、3年経過で一律失権という扱いでしたが、平成6年の改正で、65歳未満は何年経っても権利を失わないという規定に変わりました。
ですから、お尋ねの人が若年者なら、当面、失権に関して心配する必要はありません。
また、65歳になれば、それまでの勤務期間も通算したうえで、相応額の老齢厚生年金を受ける権利も発生するはずです。
【平成16年:事例研究より】