当社は、以前は女性にだけ制服着用を義務付けていましたが、現在は、福利厚生として供与するという扱いになっています。
作業服は報酬になりませんが、恩恵的に与えるという場合、報酬に含める必要があるでしょうか。
【岡山・K社】
顧客との相対業務が中心の会社では、女性に制服着用を義務付けるのが一般的です。
しかし、均等法の強化、男女同一参画社会に向けた気運醸成という社会的変化に合わせ、戸惑いを感じる企業担当者が増えています。
均等法上は、女性にのみ制服着用を強制したからといって、直ちに違反とはならないものの、法律の趣旨に照らし「望ましくない」と解されています。
このため、制服着用の義務付けを廃止し、代わりに福利厚生として制服を貸与する企業が登場しました。
雇用均等の観点から、女性の制服をなくそうという趣旨は分かるけれど、私服で事務作業をやると汚れや傷みが気になるというのが、女性の本音です。
そこで、従来どおり制服の貸与を続けるが、着用するか否かは自由という形で、問題解決を図ったわけです。
さて、前置きが長くなりましたが、ご指摘のとおり、事務服、作業服等の勤務服は、報酬に含まないのが原則です(表)。
しかし、それは全員が着用する勤務服に限られ、福利厚生として貸与する場合には本人の利益になるので、報酬に含まれるのではないかというのが、ご質問の趣旨でしょう。
しかし、元々、福利厚生の利益は「労働の対償」とはみなされず、しかも制服貸与の理由が作業中の汚れや傷みという問題を回避するためなのですから、現物給与とみなす必要はないと考えられます。
【平成16年:事例研究より】