誓約書に責任を負う文言は、賠償予定禁止に抵触か【平成16年:事例研究より】

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従業員を採用した際の誓約書のなかに、「自己の故意または過失により会社に損害をおかけしたときは、本人と保証人が連帯してその損害を賠償する責任を負います」という文言がありますが、これは労基法の賠償予定の禁止に触れないのでしょうか。

【広島・S男】

労基法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約を禁止していますが、これは、実損害額にかかわらず、あらかじめ定められた違約金または賠償額を取り立てることを禁止しているもので、労働者の行為によって現実に生じた損害について請求することは差し支えありません。

したがって、誓約書に故意または過失によって会社に損害を与えたとき、その実損害額に応じて賠償させる文言が盛り込まれていても、それ自体労基法第16条に抵触しません。

ご質問の誓約書は、損害賠償額を予定したものではなく、従業員が故意または過失によって会社に損害を与えたとき、本人も賠償の責任があるが、保証人も連帯してその損害を賠償する責任を負うというもので、実損害をいっていますから、損害賠償額を予定しているものではないと考えられます。

【平成16年:事例研究より】