計画的付与に反対の従業員への対応どうする【平成15年:事例研究より】

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当社では、今年の夏は従来の夏季休暇3日に年休の計画的付与2日を加え、土・日の休日と合わせて連続9日間の夏季休暇を考えています。

ところが、計画付与日と別の日に年休を請求するといって、反対する従業員がいます。

労働組合はなく、過半数代表者と「協定」を結び実施しますが、反対する従業員の扱いはどうするのでしょうか。

【千葉 T社】

労基法第39条第5項により、年次有給休暇(年休)について労使協定を条件に計画的付与が可能となっています。

同項は「使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる」と規定しています。

計画的付与の対象とすることができるのは、各人の有する年休日数のうち5日を超える部分です。

たとえば、年休日数が10日の労働者は5日、20日の労働者は15日までが計画的付与の対象となります。

年休の計画的付与の要件として、過半数労働組合あるいは過半数代表者と労使協定を締結しなければなりませんが、貴社には過半数労働組合がありませんから、過半数代表者と協定を締結することになります。

計画的付与の実施方法としては、①事業場全体の休業による一斉付与方式、②班別の交替制付与方式、③年休付与計画表による個人別付与方式などがありますが、事業場全体の休業による一斉付与の場合には、具体的な年休の付与日を労使協定で協定します。

計画的付与される年休は、労使協定で定めるところによって付与されることになり、「労働者の請求する時季に与えなければならない」という労働者の時季指定権、また「事業の正常な運営を妨げる場合」の使用者の時季変更権を行使できません。

行政解釈も、「計画的付与の場合には、第39条第4項の労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない」(昭63・3・14基発第150号)としています。

したがって、計画的付与に組み入れられた年休は、時季指定権の行使の余地はなくなり、労働者がその日に年休を取りたくないと主張しても、、労使協定に定めた計画どおりの年休を付与すればよいことになります。

反対する従業員が計画的付与の日に所定勤務に就くことを申し出ても、その就労を拒否できます。

なお、事業場全体の休業による一斉付与の場合、年休のない人については、計画的付与と同じ日数の年休を与えるか、特別休暇として処理するなどの措置が望まれます。

【平成15年:事例研究より】