改正法で強化されたという、不正のペナルティの内容は【平成16年:事例研究より】

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雇用保険法改正で、不正受給発覚時の処分が厳しくなったと聞きます。

たとえば、育児休業給付などを不正申告したときも、処分の対象になるのでしょうか。

その場合、どんな罰を受けるのかも教えてください。

【山口・Y社】

不正受給した場合の扱いは、各種給付ごとに定められていますが、内容はすべて同じです。失業した場合の基本手当をはじめ、高年齢雇用継続給付、育児・介護休業給付などにも、不正受給に関する規定があります。

基本的な考え方は、「不正に給付を受け、または受けようとした日以後、当該給付を支給しない」というものです。

この「給付制限」の規定は、今回の法改正でも変わっていません。ご質問にあるのは、第10条の3(返還命令等)関連の見直しでしょう川日条文では、不正受給が発覚した場合、「政府は、全部又は一部の返還を命じることができる」のに加え、「給付の額に相当する額以下の金額の納付命令ができる」と定めていました。

これを「倍返しなどと呼んでいました。

今回改正では、条文の位置が10条の3から10条の4に横滑りしたほか、追加支払いの部分が「給付の額の2倍に相当する額」に改められています。

つまり、「3倍返し」の命令も可能になったわけです。

もちろん、基本手当だけでなく、育児・介護給付等の不正受給にもこの[3倍返し]が適用されます。

ちなみに、これは法律に基づく制裁で、いわゆる法違反の罰則(第83〜86条に規定)とは性格が異なります。

このほか、連帯責任の対象が事業主だけでなく、民間職業紹介事業者にも広げられました。

【平成16年:事例研究より】