マスクを選ぶ判定材料にしたいが標章記号は何を意味しているのか【平成15年:事例研究より】

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当社は、機械製造業で溶接作業場および塗装作業場が数力所あり、溶接作業用に防じんマスク、塗装作業用に防毒マスクを購入しています。

最近、販売されている防じんマスク等の国家検定の合格標章には「RSI」や「DL2」等見慣れない記号が表示されているのですが、これらの表示にはどのような意味があるのでしょうか。

【群馬 S社】

防じんマスクおよび防毒マスクについては、近年の技術の進歩に対応するとともに、性能試験方法等の国際整合性を図るため、平成12年9月に構造規格が改正されました。

現在、改正された規格に基づく検定試験が行われており、新たな規格に適合した防じんマスクや防毒マスクが市場に出回るようになってきています。

防じんマスクの規格の主な改正内容は、粒子捕集効率試験の方法が改正されたことです。

従来、石英粒子を試験粒子として粒子捕集効率試験を行っていましたが、オイルミストの捕集を想定しない防じんマスクについては、粒子捕集効率試験の試験粒子に塩化ナトリウム粒子を使用することに変更するとともに、粉じんに加えオイルミスト等を捕集する防じんマスクについてはフタル酸ジオクチル粒子を使用することとなりました。

また、防じんマスクの規格では、今回、新たに性能による区分が設けられました。

粒子捕集効率試験、吸気抵抗試験および排気抵抗試験における各条件値が、それぞれ、3つの区分ごとに定められています。

粒子捕集試験においては、粒子捕集効率が80.0%以上、95.0%以上、99.9%以上の3つに区分されています。

使用に当たっては、作業の態様、有害物の態様等を考慮して適した性能の防じんマスクを選択することとなります。

なお、従来の防じんマスクの型式検定合格標章では、品名を表す「DR」と種類を表す「直」(直結式)、「隔」(隔離式)または「捨」(使い捨て式)が表示されていましたが、今回の改正により、表示すべき事項が追加されています。

まず、種類については、取替え式防じんマスクでは「R」、使い捨て式防じんマスクでは「D」と表示することになりました。

例えば、「DR、直」、「RSI」という表示であれば、取り替え式の直結式防じんマスクで塩化ナトリウム粒子を用いて粒子捕集効率試験を実施し、粒子捕集効率が80.0%以上であることを表しています。

次に、防毒マスクの規格の主な改正内容は防じん機能を有するものと有しないものに区分されることになったことです。

従来は、区分の1つとして、いおう粉じんを捕集するためのフィルターを具備する亜硫酸・いおう用防毒マスクの区分が設けられており、亜硫酸・いおう用防毒マスクについてのみ、粉じん捕集効率試験を実施していました。

新しい規格では、亜硫酸・いおう用防毒マスクの区分は廃止され、全ての種類の防毒マスクについて、防じん機能を有する防毒マスクと有しない防毒マスクに区分するとともに、防じん機能を有するものについては、防じんマスクと同様に粒子捕集効率試験を実施することになり、防じんマスクと同様にその性能に応じた区分(S1、S2、S3、LI、L2またはL3)が設けられました。

防毒マスクの型式検定合格標章には、従来は品名を表す「GM」と、種類を表す「直」(直結式)、「隔」(隔離式)または「直小」(直結式小型)と表示されていましたが、今回新しく設けられた防じん機能を有するものについては、従来の表示に加え、防じんマスクと同様に粒子捕集効率試験等による性能による区分についても表示されています。

また、ろ過材が分離できる吸収缶には、ろ過材および吸収缶のそれぞれに合格標章が付されています。

この型式検定合格標章は、金属その他耐久性のある材質のものに、地色を黒色で、字、縁及び線を白色で明りょうに表示し、防じんマスク又は防毒マスクの面体に付すものとすること。

ただし使い捨て式のものにあっては、この型式検定合格標章と同一の型式で直接面体に明りような表示をすることによりちょう付に代えることができる。

「国(年)検」の欄中(年)は、型式検定に合格した年(有効期間が更新されたときにあっては当該更新にかかる更新検定に合格した年)を、例えば(平12)のごとく表示すること。

「品名及び種類」は次によること。

防じんマスク 品名は、DRと表示し、種類は、取替え式のもののうち直結式にあっては「直」、隔離式にあっては「隔」、使い捨てのものにあっては「捨」と、また、その性能により、RS1、RS2、RS3、RL1、RL2、RL3、DS1、DS2、DS3、DL1、DL2またはDL3と表示すること。

防毒マスク 品名はGMと表示し、種類は、直結式にあっては「直」、隔離式にあっては「隔」、直結式小型にあっては「直小」と、S1、S2、S3、LI、L2又はL3と表示すること。

また、一粒子捕集効率等による性能による区分については、塩化ナトリウム粒子を用いて粒子捕集効率試験を実施したものは「S」、フタル酸ジオクチル粒子を用いて粒子捕集効率試験を実施したものは「L」と表示することになりました。

さらに、粒子捕集効率、吸気抵抗等の性能による区分を「1」、「2」および「3」で示すこととなり、粒子捕集効率についてはそれぞれ80.0%以上、95.0%以上、99.9%以上と表示しています。

【平成15年:事例研究より】