残業の一部に危険作業を含む場合の危険手当の算入方法教えて【平成15年:事例研究より】

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当社では、従事した時間により危険作業手当を支給しています。

危険作業は、全所定労働時間を通して従事することはほとんどなく、①所定時間中はゼロ、時間外3時間のうち1時間、②所定時間中3時間、時間外ゼロ、③所定時間中3時間、時間外2時間のうち1時間−のとき、危険作業手当の支給を受ける者の割増賃金はどのように計算するのでしょうか。

【大分 S社】

「従事した時間により危険作業手当の支給を受ける者の割増賃金」とあり、ご質問の危険作業手当は、危険作業が通常の所定労働時間内に行われたか、時間外に行われたかに関係なく、1時間につきいくらという形で支給されるものと考えられます。

したがって、ご質問の危険作業手当は、「通常の労働時間または労働日の賃金」に含まれ、危険作業手当が支給される危険作業が時間外に行われた場合には、危険作業手当を割増賃金の基礎となる賃金に算入して、計算した割増賃金を支払わなければなりません。

危険作業手当が支給されない通常作業の時間外には、危険作業手当を割増賃金の基礎に算入する必要はありません。

危険作業の手当について、行政解釈は 「問 ある作業中に、やむを得ない事情により特殊な危険作業(例えば高圧電流の通ずる線を取扱う作業)に従事する場合、それに対してその日は特に危険作業手当を支給することになっているが、これはその労働者の通常の労働に対する賃金とは関係のない臨時的なものと考えられるでので、割増賃金の基礎に算入しなくても差し支えないと思うが如何」 「答 危険作業が法第32条及び第40条の労働時間外に及ぶ場合においては、危険作業手当を第37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入した割増賃金を支払わなければならない」(昭23・11・22基発第1681号) としています。

割増賃金の計算基礎となる「通常の労働時間または労働日の賃金」の1時間当たり賃金額の計算方法は、労基法施行規則第19条に規定されています。

①所定時間中に危険作業ゼロ、時間外3時間のうち危険作業が1時間という場合、通常作業の2時間については、危険作業手当を割増賃金の計算基礎となる賃金に算入する必要はありません。

危険作業手当を除いた割増賃金の基礎となる1時間当たり賃金額で割増賃金を計算します。

危険作業の1時間については、割増賃金の基礎となる1時間当たり賃金額に危険作業手当(時給)を加えた賃金額で割増賃金を計算します。

②所定時間中に危険作業が3時間、時間外はゼロという場合、もともと時間外労働がないのですから、割増賃金は支払われません。

所定内の3時間の危険作業に、危険作業手当が払われるにすぎません。

③所定内の3時間に危険作業手当を支払い、①と同様、時間外の1時間の危険作業には、危険作業手当を加えた賃金額で割増賃金を計算します。

【平成15年:事例研究より】