仕事減って勤務日を休日にしたが、休業手当払い必要か【平成15年:事例研究より】

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パートタイマーの所定労働日数は、契約上、1ヵ月13日〜10日となっており、具体的な日数は各月ごとに勤務表により決定しています。

仕事量が少なくなったため、話合いにより勤務表を月途中で変更し、変更前は所定労働日であった日を休日とした場合、その日に対して、労基法第26条の休業手当を支払う必要はあるのでしょうか。

【神奈川 M社】

労基法第26条は、使用者の責に帰すぺき事由によって労働者が就業できなかった場合には、その休業期間中、使用者は労働者に対し平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払うべきことを規定しています。

休業手当は、休業期間に対して支払われますが、その支払いが義務づけられるのは、労働義務のある日、つまり所定労働日であるにもかかわらず、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合です。

したがって、「労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない」(昭24・3・22基収第4077号)とされています。

休日には労基法第26条の休業手当の支払い義務がないことは明らかですが、仕事量が少なくなり、休業せざるを得ない事態に立ち到った場合、話合いにより休日を増加したとしても、ただちに休業手当の支払いを免れるということはできないと考えられます。

もしこのようなことが可能とすれば、1ヵ月のうち2〜3日という短期型の一時帰休は、休日を増やすことで労基法第26条の適用を免れることになり、脱法行為となることは明らかです。

パートタイマーの所定労働日数は、契約上、1ヵ月13〜10日とし、具体的な日数は各月ごとに勤務表により決定されていますので、あらかじめ勤務表によりその月の所定労働日数を10日としたものであれば、減少した2、3日の非労働日はまさしく休日に当たり、休業手当支払いの問題は生じません。

しかし、ご質問は、仕事量が少なくなったため、生産調整の意味で勤務表を月の途中で変更し、本来なら所定労働日であり、賃金を受けられる日を、賃金の不支給日となる非労働日(休日)に変更するものです。

パートタイマーが休日に変更することに同意しなかった場合は、当然に休業手当の支給が必要となるものですから、話合いによるとしても、その真意は不明確で、使用者の責に帰すべき休業とみるべきであると考えられます。

むしろ、各月ごとに所定労働日を決定している場合には、契約上、勤務表を月の途中で変更し、所定労働日であった日を休日とすることはできないものと考えるべきです。

所定労働日を休日とした日に対して、平均賃金の60%を支払うようにすべきでしょう。

【平成15年:事例研究より】