パートが労災で休業したが、期間満了で契約解除できるか【平成15年:事例研究より】

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当社は、パートタイマーを3ヵ月の契約期間で何年か雇用しています。

期間満了時に雇用を継続する場合には、新たに契約を結び直しています。

このパートタイマーが労災にあって休業するに至った場合、「契約期間満了」を理由に契約解除できるのでしょうか。

【兵庫 D社】

労基法第19条は「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と規定しています。

労働者が業務上の傷病のため休業する期間とその後30日間、は、天災事変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となり、所轄労基署長の認定を受けた場合を除き、解雇を一切禁止しています。

労働者の責に帰すべき事由がある場合でも。

解雇は許されません。

ここでいう「解雇」とは、労働契約を将来に向かって解約する使用者側の一方的意思表示です。

労働者側から行ういわゆる任意退職、労働契約に期間の定めがある場合の期間満了による労働契約の終了は解雇ではありませんから、解雇制限期間中であっても、労働関係を終了させることは差し支えありません。

行政解釈も、「一定の期間又は一定の事業の完了に必要な期間までを契約期間とする労働契約を締結していた労働者の労働契約は、他に契約期間満了後引き続き雇用関係が更新されたと認められる事実がない限りその期間満了とともに終了する。

したがって、業務上負傷し又は疾病にかかり療養のため休業する期間中の者の労働契約もその期間満了とともに労働契約は終了するものであって、法第19条第1項の適用はない」(昭23・1・16基発第56号、昭63・3・14基発第150号)としています。

パートタイマーを有期契約で雇用し、例外的な取扱いはなく、契約期間満了日をもってきちんとやめさせている場合には、契約期間満了に伴う労働契約の終了ですから、解雇の問題は生じません。

しかし、有期契約であっても、この契約を反復更新し相当期間にわたって労働関係が継続している場合には、たまたまある契約期間の満了によって労働契約を終了させることは解雇であると考えられます。

3ヵ月契約のパートタイマーを何年か雇用しており、更新の都度、新たに契約を結び直していても、反復更新することにより今回も更新されるであろうことを期待することになり(労災による休業がなければ当然更新)、契約期間の満了をもっての雇い止めは解雇ですから、解雇制限期間中は雇い止めはできないことになります。

前回の更新と同様に今回も契約更新を行う必要があります。

【平成15年:事例研究より】