福利厚生として貸与している、制服は報酬に含まれるか【平成16年:事例研究より】

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当社は、以前は女性にだけ制服着用を義務付けていましたが、現在は、福利厚生として供与するという扱いになっています。

作業服は報酬になりませんが、恩恵的に与えるという場合、報酬に含める必要があるでしょうか。

【岡山・K社】

顧客との相対業務が中心の会社では、女性に制服着用を義務付けるのが一般的です。

しかし、均等法の強化、男女同一参画社会に向けた気運醸成という社会的変化に合わせ、戸惑いを感じる企業担当者が増えています。

均等法上は、女性にのみ制服着用を強制したからといって、直ちに違反とはならないものの、法律の趣旨に照らし「望ましくない」と解されています。

このため、制服着用の義務付けを廃止し、代わりに福利厚生として制服を貸与する企業が登場しました。

雇用均等の観点から、女性の制服をなくそうという趣旨は分かるけれど、私服で事務作業をやると汚れや傷みが気になるというのが、女性の本音です。

そこで、従来どおり制服の貸与を続けるが、着用するか否かは自由という形で、問題解決を図ったわけです。

さて、前置きが長くなりましたが、ご指摘のとおり、事務服、作業服等の勤務服は、報酬に含まないのが原則です(表)。

しかし、それは全員が着用する勤務服に限られ、福利厚生として貸与する場合には本人の利益になるので、報酬に含まれるのではないかというのが、ご質問の趣旨でしょう。

しかし、元々、福利厚生の利益は「労働の対償」とはみなされず、しかも制服貸与の理由が作業中の汚れや傷みという問題を回避するためなのですから、現物給与とみなす必要はないと考えられます。

金銭で支給されるもので報酬となるもの
  1. 基本給(月給、週給、日給など)
  2. 家族手当
  3. 住宅手当
  4. 通勤手当
  5. 食事手当
  6. 役付手当
  7. 職階手当
  8. 早出手当
  9. 残業手当
  10. 皆勤手当
  11. 能率手当
  12. 生産手当
  13. 休業手当
  14. 育児休業手当
  15. 介護休業手当も各種技術手当
  16. 特別勤務手当
  17. 宿日直手当
  18. 勤務地手当など年4回以上支給の賞与など
金銭で支給されるもので報酬にならないもの
  1. 解雇予告手当
  2. 退職手当食事酬結婚祝金
  3. 災害見舞金
  4. 病気見舞金など
  5. 年金
  6. 恩給
  7. 健康保険の傷病手当金
  8. 労災保険の休業補償給付など
  9. 家賃
  10. 地代
  11. 預金利子
  12. 株主配当金など
  13. 大入袋など
  14. 出張旅費など
  15. 年3回まで支給の賞与など
現物で支給されるもので報酬となるもの
  1. 食事
  2. 食券など
  3. 社宅
  4. 独身寮など
  5. 通勤定期券
  6. 回数券
  7. 給与としての自社製品など
現物で支給されるもので報酬にならないもの
  1. 食事(本人からの徴収金額が標準価額により算定した額の3分の2以上のとき)
  2. 住宅(本人からの徴収金額が『標準価額』により算定した額以上のとき)
  3. 被服
  4. 事務服
  5. 作業服等の勤務服など

【平成16年:事例研究より】