傷病手当金の要件に該当したら、育休中も受給権が発生するか【平成15年:事例研究より】

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出産休暇中の女性は、同時に傷病手当金をもらえる状態でも、出産手当金が優先して支給されると聞きます。

出産休暇が終わった後、引き続き育児休暇を取った場合は、どうなるでしょうか。

一旦、私傷病休職という扱いにしないと、傷病手当金の対象にならないのでしょうか。

【島根 M社】

産前42日(多胎妊娠は98日)、産後56日の範囲内で、労務に服さなかった期間については、出産手当金が支払われます。

他の病気で療養中だったとしても、出産手当金と傷病手当金のどちらを申請するかは、本人の選択で決まるわけではありません。

しかし、手当金の金額は両方とも賃金の60%ですから、どういう名称になるかは、実際問題として大きくありません。

産後56日が過ぎれば、出産手当金が切れますが、その後、労務不能の状態が続けば、普通は傷病手当金に切り換わります。

私傷病休職などで欠勤状態にあれば、手当を受け取れるのは明白です。

しかし、育児休業期間中は、労使ともに保険料の納付が免除されるので、現金給付の対象になるかどうか心配になります。

欠勤扱いにして、保険料を納付する代わりに傷病手当金をもらう、そういう手続が必要ではないか、というご質問が出ても不思議ではありません。

この点について、厚生労働省は「傷病手当金の支給要件に該当する者に関しては、その者が育児休業期間中であっても傷病手当金を支給する」(平4・3・31保発第39号)という立場を取っています。

保険料の納付という問題とは関係なく、給付の要件を満たせば、自動的に支給対象として処理するわけです。

ただし、育児休業期間中に、育児手当その他の名目で、一定額の賃金を支払っている場合には、注意が必要です。

傷病手当金の支給期間中に、事業主から報酬を受けていれば、その分か手当からカットされるからです。

たとえば、賃金の20%の育児手当を払う規定があるケースでは、傷病手当金は賃金の40%相当に減額されます。

【平成15年:事例研究より】