業務外疾病が給付対象なめに就業の有無が問題になるのはなぜか【平成15年:事例研究より】

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健康保険の給付対象になるのは「業務外の事由による疾病等」に限られると理解しています。

一方、傷病手当金の説明を読むと、「就業時間中に発症した場合、当日は待期期間に含め、就業時間後に発症した場合、翌日から待期を起算する」とあります。

業務外の疾病に対する保障に関し、どうして就業時間中か否かが問題になるのでしょうか。

【岡山 M社】

労災保険でも、待期期間を計算する場合、同じような取り扱い規定があります。

労災保険は「業務上の疾病」をカバーするものですから、疾病が業務中に発生したかどうか、チェックするのは当然です。

業務中に発症したという事実は、業務遂行性を判断する重要な要素となります。

それでは、業務外の疾病を対象とする健康保険で、どうして就業時間中か否かが問題になるのでしょうか。

健康保険は被用者保険の一種で、適用事業所に働いている人の保障を目的としています。

ですから、病気そのもののほか、病気により労務不能に陥ったことも保険事故とみなして、休業4日目から傷病手当金を支給する規定となっています。

このため、療養の給付に関しては病気になった時期に関係なく支給の可否が決定されますが、傷病手当金については、発症したタイミングが決定的な意味を持つのです。

就業中に傷病が発生し、就労不能となったときは、その日も含め連続して3日が経過した段階で待期が完成します。

終業後に発症したとき(または、就業中に発症しても、終業時間まで働いたとき)は、その日の翌日から就労不能になったと考えます。

発症当日は、労務の提供を終え、通常の賃金を受ける権利を得ているので、健康保険から収入を保障する必要がないからです。

このように、傷病手当金の支給開始時期を決める重要ファクターとなるので、就業時間中の発症か否かが、健康保険でも問題とされるわけです。

【平成15年:事例研究より】