改正健保法施行で資格喪失後の継続給付の扱いに変更あるか【平成16年:事例研究より】

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現在、妊娠中の女性従業員が、出産前に退職したいと、相談に来ました。

分娩予定は5月なのですが、出産手当金・出産育児一時金のことで疑問があります。

改正健保法が平成15年4月から施行されていますが、資格喪失後の継続給付の扱いに変更点はないでしょうか。

退職後、6月以内に出産したときは、健保から給付が出ると説明して、間違いないですか。

【富山・B社】

改正健保法に関するパンフレット等をみますと、簡単に「被保険者資格喪失.後の継続給付は、平成15年3月31日で廃止されました」などと説明されています。

このため、不安を感じられたのでしょうが、改正の対象になるのは、療養の給付、入院時食事療養費、特定療養費、訪問看護療養費、移送費たけです。

改正健保法では、章立てを細かく編成し直していますが、第4章・第2節に[療養の給付及び入院時食事療養費等の支給]に関する規定を置いています。

資格喪失後の継続給付の規定が消えるのは、この節に限られます。

4月からは、「被保険者が資格を喪失し、日雇特例被保険者またはその被扶養者となった場合」についてだけ、6ヵ月を限度として療養の給付を行うという例外は残されますが、それ以外は、すべて廃止となります。

「傷病手当金・埋葬料、出産育児一時金及び出産手当金の支給」は、第4章・第3節にまとめられていますが、こちらについては、資格喪失後の継続給付の仕組みが、そのまま残されています。

改正健保法第106条では、「1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、出産につき被保険者として受けることができるはずであった保険給付を最後の保険者から受けることができる」と定めています。

カタカナ表記がひらがなに変わり、表現も分かりやすくなりましたが、内容的には以前とまったく同じです。

ですから、お尋ねの方が出産を見越して早めに退職しても、健保の給付面で心配は要りません。

【平成16年:事例研究より】