従業員が半数以上希望しても任意加入の義務はないか【平成16年:事例研究より】

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健保の適用を受けない事業所で、一部の従業員が任意適用を希望しています。

仮に、2分の1の同意が集まっても、事業主に加入の義務はないと理解していますが、間違いないでしょうか。

【山梨・S社労士】

健保では、5人未満の個人事業主(理容、旅館、飲食店など、業種によっては5人以上でも対象にならない個人事業もあります)は、強制加入ではありません。

しかし、事業主が望めば加入が可能で、これを任意適用といいます。

健保の任意加入は、「認可を受けて、適用事業所とすることができる。

このとき、使用されるものの2分の1以上の同意を得なければならない](健保法第31条)という扱いになっています。

同意は申請の前提条件ですが、同意があったら自動的に加入の義務が生じるわけではありません。

紛らわしい例に、労働保険の任意加入があります。

労災関連は、整備法(失業保険法及び労災保険法の一部を改正する法律及び徴収法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)第5条に「過半数が希望するときは、申請をしなければならない」雇用保険関連は、徴収法附則第2条に「2分の1以上が希望するときは、申請をしなければならない」とあります。

こちらは、希望があれば強制です。

労働保険の場合、暫定任意適用事業は個人経営の農林水産事業の一部に過ぎません。

その他の事業では、労働者を1人でも雇うと、加入の義務が発生します(雇用保険の20時回未満の短時回労働者除く)。

広い範囲で適用する休制ができています。

一方、健保の任意適用の場合、従業員の同意を受け、事業主が申請する場合も、許可するかどうか審査実施されます。

その基準は、1.従業員の使用関係が明らかで、安定しているかどうか、2.経理状態がよく、滞納のおそれが少ないかどうかーです。

このように、社会保険と労働保険では任意加入の考え方が違います。

健保では、従業員の希望があっても加入する義務はありません。

【平成16年:事例研究より】