加入期間20年の女性が死亡したが、夫がいても子に遺族年金出るか【平成16年:事例研究より】

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女性従業員が死亡しました。

子育てでの中断を含め厚生年金の被保険者期間が20年近くあります。

子供に厚生年金の権利が生じると思うのですが、「遺族基礎年金の対象となる子」が対象になるとも聞きます。

父親がいる場合、子供に年金は出ないのでしょうか。

【山口・M社】

女性従業員は、厚生年金の被保険者期間中に亡くなったのですから、遺族厚生年金の短期要件に該当します。

厚生年金の被保険者期間だけで20年近くあるのですから、子育て中の第3号被保険者期間等を加えると、保険料納付要件をクリアしているはずです。

対象となる遺族は、第1順位者が、「子(18歳の年度末まで、または20歳未満で障害等級1・2級)のある妻」または「子(条件は同じ)」です。

第1順位者の要件は、ご指摘のとおり、遺族基礎年金の受給権者と同じです。

死亡された女性従業員が夫と共同して子供の生計を維持していたと認められれば、子供には遺族基礎年金の権利が発生します。

しかし、一般常識からいえば、父親が健在で、生活力もあるのに、その子供に基礎年金が支払われるのは不合理です。

このため、国民年金では、子供と生計を同じくする父または母親がいるとき、子供の遺族基礎年金は支給停止とする規定を設けています。

ですから、結論として、女性従業員の子供は遺族基礎年金の権利は生じますが、現実に年金を受け取ることはできません。

しかし基礎年金がストップしていても、要件に該当する限り、遺族厚生年金は全額支払われます。

国民年金のような支給調整の規定はありません。

【平成16年:事例研究より】