労災休業中に定年到達した場合、嘱託への切替えは可能か【平成15年:事例研究より】

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従業員Aは、業務上の負傷で労災休業中に定年となります。

就業規則で60歳定年を規定していますが、再雇用制度があり、ほとんど1年契約の嘱託で再雇用しています。

退職金は60歳時点で支給、賃金もダウンします。

労災休業中であっても、Aを定年をもって、嘱託に切り替えてよいでしょうか。

【広島 S社】

労基法第19条は「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日は、解雇してはならない」と規定しています。

一応60歳定年の定めはありますが、再雇用制度があり、定年到達者をほとんど1年契約の嘱託で再雇用していますので、定年で退職させるのは解雇です。

労基法第19条の適用がありますので、業務上負傷による療養のため休業しているAさんを定年をもって退職させることはできません。

しかし、定年到達時点で1年契約の嘱託に切り替えることは差し支えありません。

嘱託として再雇用される限り労働関係は継続しますので解雇でありません。

行政解釈は定年時に「鉱夫から臨時夫に切り替えても引き続きその会社で使用する場合は、単に労働者の職制上の身分の変動であって労働関係は継続して存続するものであるから法第20条め問題は生じない」(昭25・1・10基収第3682号)としています。

業務上負傷の療養のため休業中であっても、嘱託への切替えはできます。

【平成15年:事例研究より】