工場合併で従業員50人超えたが安衛委員会を設置するのか【平成16年:事例研究より】

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当社は、かわらなど建設用粘土製品を製造している会社ですが、2つの工場を整理し、本社工場(従業員は65人)の1つにします。

本社工場の従業員数が50人を超えることから、安全衛生委員会の設置が必要になると聞きましたが、安全衛生委員会について、設置義務はどうなっていますか。

また、委員会の性格をどのように理解して運営すべきですか。

【和歌山・O社】

労働安全衛生法では、事業者は、政令で定める業種および規模の事業場ごと.に安全委員会を、政令で定める規模の事業場ごとに衛生委員会を、それぞれ設置しなければならないとされています。

また、安全委員会と衛生委員会の両委員会を設置しなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができるとされています。

政令で定める業種および規模の事業場について、安全委員会を設置しなければならない事業場としては以下のように規定されています。

1.林業、鉱業、建設業、製造業のうち、木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業および輸送用機械器具製造業、運輸業のうち道路貨物運送業および港湾運送業、自動車整備業、機械修理業並びに清掃業で、常時50人以上の労働者を使用する事業場、 2.運輸業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業(1.に掲げる業種を除く)で、常時100人以上 の労働者を使用する事業場−など。

また、衛生委員会を設置しなければならない事業場としては、常時50人以上の労働者を使用する全ての業種の事業場とされています((司法第17条〜第19条、同法施行令第8条、第9条)。

貴社は製造業のうち窯業・土石製品製造業に含まれます。

また常時50人以上100人未満の労働者を使用するということですので、衛生委員会を設置しなければなりません。

衛生委員会の委員については、次の者を委員とすることとされています。

1.総括安全衛生管理者等事業場においてその事業の実施を統括管理する者またはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者 2.衛生管理者のうちから事業者が指名した者 3.産業医のうちから事業者が指名した者 4.その事業場の労働者で、衛生に関し経験を有する者のうちから事業者が指名した者 また、その事業場の労働者である作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することができるとされています。

これらの委員の指名に当たっては、1.の委員以外の委員の半数については、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないこととされています。

委員会の委員は、現場の従業員の意見、情報を把握し、委員会で審議する重要な役割を担っており、その情報量が多ければ多いほど、安全衛生委員会は活発に活動することとなります。

したがって、従業員の意見を反映することができるような者が選任されるよう、従業員の理解を求めることも大切です。

安全衛生問題に直接関係するのは従業員であり、労働災害防止活動を推進するためには、従業員がその事業場の安全衛生問題について関心を持つとともに、その意見が安全衛生活動に反映されることが大切です。

労働安全衛生法では、委員会に労働者の危険または健康障害を防止するための基本となるべき対策に関することなど一定の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせることとしており、委員会は、自らまたは事業者の諮問に応じて調査審議し、事業者に対し意見を述べる役割を持つもので、団体交渉や安全衛生活動の実施のための組織ではなく、事業場の労働災害防止対策の方向を誘導し、修正する機能を持つ重要な組織です。

したがって、その委員が有する労働災害防止についての知識、経験をより一層深めるための教育も重要です。

なお、安全委員会を設けるべき事業場以外の事業場および衛生委員会を設けるべき事業場以外の事業場については、職場における安全上または衛生上の問題に対処するため、安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならないこととされています(労働安全衛生規則第23条の2)。

【平成16年:事例研究より】