在職老齢の適用にはならないが65歳過ぎても保険料徴収?【平成15年:事例研究より】

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平成14年4月から、厚生年金被保険者の範囲が、65歳未満から70歳未満に拡大されましたが、新しく被保険者となる人は、すべて保険料を納める義務を負うのでしょうか。

在職老齢年金の対象にならない低額所得者でも、保険料を徴収されるのでしょうか。

【大阪 F社】

新たに被保険者となる人たちは、3タイプに区分できます。

まず、平成14年4月前までに65歳に達した人たちですが、収入の多寡に関係なく、年金は満額支給されます。

制度移行に合わせ、経過措置が適用されるグループです。

平成14年4月以降に65歳に達した人たちは、収入に応じて、扱いが分かれます。

標準報酬月額と老齢厚生年金を合わせた額が37万円を超える人たちは、老齢厚生年金が減額調整されます。

「60歳代後半の在職老齢年金」と呼ばれる仕組みで、「60歳代前半の在職老齢年金」とは計算方法が違うので、注意が必要です。

ただし、いくら収入が高くても、老齢基礎年金は全額支給されます。

「60歳代前半の在職老齢年金」の場合、収入が多い人は、基礎年金も加給年金も止まってしまって、年金が1円も出ないケ−スもあり得ます。

しかし、60歳代後半については、受給権があるのに無年金という人は存在しません。

標準報酬月額と老齢厚生年金を合わせた額が37万円以下の人は、老齢厚生年金も満額出ます。

「60歳代前半の在職老齢年金」制度では、被保険者である限りは、最低でも2割の年金がカットされます。

一方、60歳代後半では、被保険者資格があっても、金額調整はないというグループも生じるわけです。

このように、年金調整の有無という観点からは、3つのタイプに類型化することができますが、保険料の徴収に関しては、すべて扱いは同じです。

経過措置の適用を受け、収入にかかわらず年金を満額受けられる人も、保険料は規定どおり納める必要があります。

収入・年金が少なく、在職老齢の対象にならない人も、やはり保険料納付義務があります。

【平成15年:事例研究より】