社則違反のマイカー通勤でも通災か【平成15年:事例研究より】

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当社は、マイカー所有者に対して所定の手続き(マイカー通勤申請書、契約書など)のうえ、マイカー通勤を許可しています。

申請のない者のマイカー通勤を社内規則で禁止していますが、会社の規則を破ってマイカーで通勤し、その途上で事故にあった場合でも、通勤災害として労災保険給付がなされるのでしょうか。

申請のない者には、公共交通機関による通勤手当を支給しています。

【三重 I社】

通勤の途中において発生した災害が通勤災害と認められるためには、それが合理的な経路上で、しかも合理的な方法をとっている際に発生したものでなければなりません。

合理的な方法とは、住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般に労働者が用いると認められる手段をいい、その労働者が平常用いていたか否かにかかわらず一般に合理的な方法と認められます。

会社から公共交通機関の通勤手当が支給され、いつもは電車で通勤している者が、たまたまマイカーで通勤しても、通常の通勤方法と異なるとして、これを合理的な方法でないということはできません。

マイカー通勤は一般に通常用いられている方法でその合理性を否定する理由がないからです。

マイカー通勤の許可を得ずに、社内規則に違反していたとしても、就業に関し合理的な経路によっている限り通勤災害となります。

通勤災害認定と社内規則違反は別で、社内規則違反は通勤災害にならないというものではありません。

ただし、社内規則違反は社内における制裁の対象となり得ます。

【平成15年:事例研究より】