昼休み休憩中の災害、労災の対象になるか【平成15年:事例研究より】

トップ » 労災 » 労災とは

昼休みの休憩時間中の災害は、労災として労災保険給付の対象となるのでしょうか。

昼休み中に階段で足を踏みはずして負傷したり、運動競技などでのケガが考えられますがどうなるのでしょうか。

【富山 N社】

休憩時間中は、就業時間外であり労働者は原則として自由行動が許されていますが、休憩時間後の就業が予定されており、事業主の管理下(事業施設内)で行動している限り、業務遂行性はあるといえます。

業務遂行性は認められるといっても、休憩時間は自由行動が許されているのですから、その間の個々の行為は私的行為です。

私的な行為の結果災害が発生しても、そのことだけが原因なら業務災害と認められません。

事業場施設の欠陥に起因することが証明されなければ業務災害として取り扱われません。

ただし、一見それ自体私的行為とみられる行為であっても、就業中であれば業務行為に含まれる行為(用便などの生理行為、あるいは必要行為、合理的行為)は、業務付随行為として、「業務起因性が認められないような特別の事情」がない限り、施設の欠陥を証明するまでもなく、業務災害と認められます。

したがって、階段の昇り降りの際、足を踏みはずして転倒負傷することは、通常発生しうる災害ですから、施設の欠陥を論じるまでもなく、業務災害となります。

昼休み中の運動競技(キャッチボールなど)は、休憩時間利用の私的な行為ですから、その行為中に負傷しても業務災害と認められません。

【平成15年:事例研究より】