途中で退勤したが、待期の完成は何日目か【平成15年:事例研究より】

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当社では、就業時間中に業務上災害が生じた場合、当日分の賃金はカットせず、翌日から2日間の年休取得を認めたうえで被災後4日目から休業補償を受給させる扱いを採ってきました。

ところが、今回、被災者が、翌日、無理を押して出社し、結局1時間後に帰宅するというケ−スが発生しました。

この場合どう処理すればよいのでしょうか。

【山形 S社】

所定労働時間中に被災し、その後、就労しなければ、法律的には、不就労時間に対応した賃金カットが可能です。

しかし、実際問題としては、貴社のように、当日分は賃金の調整をしない企業も多いようです。

翌日、出社してすぐに帰ったときの処理ですが、一部就労の場合には「平均賃金と当該労働に対応して支払われる賃金との差額の100分の60を支払う」必要があります。

この原則は、労災保険から休業補償給付が出る際にも適用されます。

一部就労があったときの休業補償給付は、「給付基礎日額から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額の100分の60に相当する額とする」と定められています。

所定労働時間中に負傷した場合、待期期間のカウントはその日から開始します。

通常は、翌日、翌々日と2日年休を取れば、その次の日から休業補償給付が出るわけです。

お尋ねのケ−スでは、負傷の翌日に1日、出社日が挟まりました。

そうすると、待期期間が完成するのはいつかという疑問が生じます。

しかし、出社はしたけれど、療養のため労働不能で休業補償を受けたという場合も、休業の要件を満たすと解されます。

一部出社のときの賃金の扱いは、前記のとおりですが、賃金を一部支払っても休業と認められます。

ですから、被災から3日目に年休を取得し、4日目から休業補償給付を受けることになります。

休業補償給付を受けず、さらに年休を取得することも、本人の選択により可能ですが、休業補償給付の請求は、災害にあわれた労働者の権利なので休業補償給付を請求されるのがよいのではないでしょうか。

【平成15年:事例研究より】