年休取得者を残業時に緊急出社させる。時間外手当だけでよいか【平成4年:事例研究より】

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過日、終業(午後5時)間際に機械の故障が発生し、翌日の仕事に支障が生ずるため、当日年次有給休暇中の従業員に連絡したところ、快く応じて出勤してくれました。

午後6時に会社に出向いてきて午後8時まで仕事をしました。

この場合、2時間の時間外手当のみの支給でよいでしょうか。

年次有給休暇、時間外手当はどのようになるのでしょうか。

【福島・K工業】

労基法第39条の「労働日」は原則として暦日計算によるべきものであるから、年次有給休暇(年休)当日は、その日の午前零時から午後12時まで労働の義務から完全に開放され、その日はいかなる労働命令にも服する義務はありません。

したがって、労働者の同意があれば格別、使用者の都合によって呼び出すことはできないものです。

ご質問のように、年休をとっている労働者が使用者の出勤要請により勤務した場合、たとえ所定労働時間の全部を休養しており、勤務したのが所定時間外の午後6時から8時までであったとしても、その日の一部を勤務していますので、当日は年休を与えたことになりません。

別の日に1日の年休を与えなければなりません。

当日の勤務は、午後6時から8時までの2時間で、1日8時間以内の労働ですから時間外労働とはならず時間外手当(割増賃金)を支払う義務はありません。

ただ、実労働時間の如何にかかわらず、所定終業時刻(午後5時)以降の労働には時間外手当を支払う定めになっている場合には、時間外手当を支払わなければなりません。

【平成4年:事例研究より】