3年の有期契約は、職種や雇用形態で制限あるか【平成16年:事例研究より】

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改正労基法により有期契約の契約期間が原則「1年」から「3年」に延長されましたが、対象者に制限があるのでしょうか。

3年という長期にわたって拘束されることが考えられますが、職種や雇用形態(常用、臨時、パート)に関係なく3年の有期契約が可能となったのでしょうか。

【大阪・Y社】

改正労基法は、一部修正のうえ6月27日に可決成立し、平成16年1月1日から施行されています。

有期労働契約(労基法第14条)については、契約期間の上限は原則「1年」とされていましたが、今回の改正からこの上限期間「1年」が「3年」に延長されました。

また、契約期間の上限が「3年」とされている一定の要件を満たす専門的知識を有する労働者、満60歳以上の労働者との契約期間の上限は「5年」に延長されました。

原則1年を3年に引き上げたものですから、改正法施行後は、職種に関係なく、常用、臨時、パートなど雇用形態の如何を問わず、3年の契約が可能となります。

新たに雇い入れる労働者に限らず、現在1年契約の労働者についても、次の更新時には、2年、3年の契約期間を定めることができます。

有期労働契約期間の上限が1年から3年に延長された後も、契約更新はできますから、3年契約を締結し、3年ごとに更新することが可能となります。

有期労働契約の場合、労働者はやむを得ない事由のある場合を除いて、その契約期間の途中で契約を解除することができなくなります(民法第628条)。

今回の改正で、原則的な契約期間の上限を3年としたことにより、労働者が長期にわたって、その意に反して退職することができなくなる事態を防ぐため、有期労働契約についての暫定措置が設けられています。

改正法施行から3年後の見直しが行われるまでの措置となっています。

具体的には、「期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年以上のものに限る)を締結した労働者については、民法第628条の規程にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる」(附則第137条)旨の規定がおかれました。

1年を経過した後は、いつでも退職することができます。

また、厚生労働大臣は、期間満了時において紛争が生じることを未然に防止するため、期間満了の通知、その必要な事項について基準を定めることができる規定がおかれ、平成15年10月22日付で「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(厚生労働省告示第357号)が告示されました。

行政官庁は、この基準で助言、指導を行うことができます。

【平成16年:事例研究より】