長時間労働で眼がかすむと訴えが出たが、OA業務の健康対策はどうする【平成16年:事例研究より】

トップ » 健康管理 » 健康対策

当社では、数人の従業員がパソコン等のOA機器を使ってデータ入力、文章作成等の作業を行っていますが、納期の関係から残業が続いたため眼の疲れ等を訴える従業員が出てきて、作業時間が長すぎるのではないかとの指摘がありました。

VDT作業について、厚生労働省からガイドラインが出されていると聞きましたが、VDT作業に関する作業時問についてはどのように規定されているのでしょうか。

【千葉・K社】

近年、VDT機器が多様化してVDT作業が広く職場に導入され、誰もが職場.においてVDT作業を行うようになり、職場環境、作業形態等も大きく変化し、VDT作業者に心身の疲労を感じている者が多いことから、厚生労働省は平成14年4月に「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定しました。

このガイドラインは、昭和60年に労働省が策定した「VDT作業のための労働衛生上の指針」を、その後に得られた産業医学、人間工学等の分野における知見に基づいて見直し、作業者の心身の負担を軽減し、作業者がVDT作業を支障なく行うことができるよう支援するために事業者が講すべき措置等について示したものです。

本ガイドラインの対象となる作業は、事務所において行われるVDT作業(ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT(VisualDisplayTerminals)機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プロゲラミング、監視等を行う作業)と定義づけています。

VDT作業に従事する者の心身の負担を軽減するためには、事業者が作業環境をできる限りVDT作業に適した環境に整備するとともに、VDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないように適正な作業管理を行うことが重要です。

ガイドラインでは、作業時間等について、次の点を要請しています。

(1)1日の作業時間 1日の作業時間は、次の次の項の「VDT作業の作業区分」の表の「作業区分A」に該当する作業に従事する者については、他の作業を取り込むことまたは他の作業とのローテーションを実施することなどにより、1日の連続VDT作業時間が短くなるように配慮すること。

「作業区分B」に該当する作業に従事する者についても、同様に、VDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないようにすること。

(2)1連続作業時回及び作業休止時間 1連続作業時間は、「VDT作業の作業区分」の表の「作業の種類」の「単純人力型」および「拘束型」に該当する作業に従事する者については、1時間を超えないようにし、次の連続作業までの問に10〜15分の作業休止時間を設け、かつ、1連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設けること。

「作業の種類」の「単純入力型」および「拘束型」以外の型に該当する作業に従事する者については、同様に作業休止時問および小休止を設けるようにすること。

(3)業務量への配慮 作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。

本ガイドラインは標準的なVDT作業を対象としたものですから、各事業場においては、これをもとに、衛生委員会等で十分に調査審議を行ったうえ、VDTを使用する作業の実態に応じて、VDT作業に関する労働衛生管理基準を定めるとともに、当該基準を職場の作業実態によりよく適合させるため、衛生委員会等において、一定期間ごとに評価を実施し、必要に応じ、見直しを行うことを求めています。

また、作業時間、作業休止時間等以外に、照明、グレアの防止、換気等の作業環境管理、作業に適したVDT機器の選択、作業者に合わせた机、椅子等の調整等の作業管理、健康診断とその事後措置、健康相談の実施等の健康管理についてもガイドラインを参考に適切に行うよう配慮が必要です。

さらに、VDT作業が健康に及ぼす影響は個人差が大きいことから、作業者が心身に異常を感じている場合には、作業者の健康状態を正しく把握し、早い段階で作業者の健康状態に応じた適正な措置を取ることが大切です。

【平成16年:事例研究より】