産後勤務しないことが明確でも産休と同時に退職にならないか【平成15年:事例研究より】

トップ » 休職制度 » 産前産後

私は12月15日が出産予定日です。

12月の賞与支給日に在籍すれば賞与をもらうことができます。

出産後の勤務は無理なので、退職する旨会社に話していますが、賞与をもらい12月いっぱいで退職を考えています。

11月の第2週頃から出産休暇をとりたいと考えていますが、産後全く勤務しない場合、出産休暇に入ると同時に退職ということにならないでしょうか。

【青森 M子】

労基法第19条は「産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と規定しています。

産前産後の休業期間とその後30日間は、たとえば労働者の責に帰すべき事由がある場合でも、解雇することは許されません。

労基法第65条は、女性労働者の産前産後の休業期間を定め、産前の6週間(多胎妊娠の場合には、14週間)については本人の請求による選択的就業制限とし、産後の6週間は絶対的就業制限として、その後の2週間は本人の請求を条件に医師が支障がないと認めた業務に限り、就業が認められる選択的就業制限としています。

産前産後の休業は、出産後の継続勤務を条件としていません。

産前産後の休業期間をがっちり休んでその後に退職する場合であっても、産前産後の休業を認めないというわけにはいきません。

産前産後の休業期間とその後30日間は、使用者の行う解雇を禁止しているのであって、出産に際して本人が自発的に退職(任意退職)することまで禁止しているものではありません。

使用者からする解雇が禁止される結果、解雇制限期間中は労働者側からする契約の解除(任意退職)に限られます。

したがって、出産に際していつ退職するかは本人の自由な選択によるわけですから、自然の出産予定日を基準として6週間前(11月の第2週頃)から産前休暇を取得し、12月いっぱいで退職することも自由です。

賞与を受給するために退職を延ばしたとか、産後全く勤務する意思がないなどの理由で出産休暇を認めないことはできません。

産前産後に入ると同時に、会社が一方的に退職処理をすることはできません。

会社としては、本人が希望する退職日で退職処理することになります。

賞与の支給条件として、支給日在籍の条件が付されていますから、支給日前に退職すれば賞与の受給資格を失いますが、出産休暇で休んでいても、支給日に在籍しているわけですから、賞与の受給資格があります。

賞与の算定期間に出産休暇の一部が含まれていますと、その分減額されることは考えられます。

【平成15年:事例研究より】