製造業では規制緩和されたと聞くが残業制限どう変わったか【平成15年:事例研究より】

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当社は製造業ですが、育児・介護の必要がある労働者に対する時間外規制に変更があって、一部規制が緩くなったとも聞きました。

具体的にどのように変わったのでしょうか。

【茨城 H社】

平成11年4月に改正労基法が施行され、女性労働者の労務管理に一大変化が生じました。

それ以前は、女性に対して男性より格段に厳しい時間外労働規制が適用され、女性の社会進出を阻む要因となっていました。

女性保護規制の撤廃は、男女平等参画社会の実現に向けた大きな一歩です。

しかし、現実にはすぐに法改正に対応できない女性も少なくないと推測されたので、育児・介護の必要がある女性(特定労働者)を対象に、「激変緩和措置」が講ぜられました。

激変緩和措置は、特定労働者が申し出た場合、一般労働者とは別の時間外上限を適用するというものですが、その上限については、工業的業種で1週6時間、1年150時間、非工業的業種で4週36時間、1年150時間など、業種に応じて異なる時間が設定されました。

激変緩和は、その名のとおり、法改正のショックを減じるための経過措置で、最初から、期間は3年に限定されていました。

激変緩和の期限切れを受け、平成14年4月からは、育児・介護休業法に基づく新しい時間外規制がスタートしています。

新制度では、男女の別なく育児・介護の必要がある労働者は、時間外の制限を申し出ることができます。

この場合の時間外上限は、業種に関わりなく、1月24時間、1年150時間に定められたので、製造業など工業的業種では、いくらか弾力的な時間管理が可能となりました。

しかし、以前は4週24時間(1週6時間×4週) だったのですから、むしろ総枠としては厳しくなったともいえます。

いずれにせよ、当人が希望しないときは、できる限り時間外は強制しないよう配慮すべきです。

時間外の制限を申し出るに際しては、1月前までに、1月以上1年以内の期間を指定します。

厚生労働省が、モデル書式を作成しているので、次に掲げます。

【平成15年:事例研究より】